仕事をしている時に嫁さんからLINEが入りました。
「6-7時の間に自宅訪問型のペット葬儀を頼んでいます。(火葬してくれるワゴン車が来ます。2時間位かかるらしい。)」との連絡。家に置いてある生前の持ち物を見るだけで涙が止まりません。」との事。今日こそは仕事をきちんと時間内に終えて家に帰ることを心がけました。
家に帰ると、昨日の姿勢と変わらず我が家の次男スプーキーが冷たくなったまま小型犬用のソファの上に静かに横たわっていました。6時になった時に玄関のチャイムが鳴りました。やってきて下さった
ジャパン動物メモリアル社というところのM下さんという方でした。ネットの評判を嫁さんたちが検索して評判が一番良いところとして選んだようでした。我々が選んだのは家族立ち会いによる個別葬儀。
家に来られた後、次女と嫁さんと私がM下さんの説明を聞かせていただいた後、スプーキーの体をハッカ油を含ませた白い布を使って我々三人の手で綺麗に毛並みを揃えてあげました。それが済むと、長めの綿棒に含ませた末期の水をその小さな口に三人それぞれが少しずつ含ませました。最後に次女が右前の足に小さな小さな、本当に小さな可愛い数珠をくぐらせて終了。
ここで一旦葬儀社の方はマンションの下に降りられ、火葬の準備をされるということで時間をくださいました。
その間に我々家族はスプーキーが天国で使えるおもちゃや食べ物を準備するとともに、三人がそれぞれに手紙を準備。私はスプーキーが読めるかな?という事でなるべく易しいひらがなで「またあえるよ!むこうでまっててね。おとうさん。」と書いて二つ折りにして入れました。
暫くすると電話が鳴りましたので、固くなった体を次女が優しく包んで少し風の出ていた外に降りていきました。この時ばかりは事情の良く解っていない長男も一緒にエレベータに乗って一緒に降りました。不思議そうな顔をして冷たくなったbuddyを見つめていました。
降りた所は最初に打ち合わせた通り家の裏側。大きな白いバンが停まっていたのですが、素晴らしくコンパクトな火葬システムが積み込まれていて、そこから引き出されたお焼き台が引き出されていました。その上に掛けられていた白いグラスウール製?の綺麗な敷物の上に体をそっと置き、回りにおもちゃ、ハイチュールやいちご、ご飯などの食べ物、そして周りに花弁を綺麗に敷きました。そして嫁さんは自分のTシャツを折り畳んで配置。
嫁さんと私が最後にスプーキーを触ってキス。次女は離れられないという感じでじっと触っていましたが、キスをして離れました。最後に葬儀社の方が扉の前に立って「これが最後の本当のお別れになります。よろしいですか?」と話しかけられたのですが、意を決して最後に私がお願いしますと言って扉の向こうに消えていくスプーキーを見送りました。
その後は直ぐにスイッチが入れられ火葬が始まりましたが、マンションの上から見ると車の上には煙突用に穴が開いておりそこから赤い光が漏れていましたが実に静かなものでした。部屋で待つこと40分ほどで再び連絡が入り下へ降りていくとお焼きが終わっていました。驚くほどに綺麗に白い骨だけになった様子を見ることは私にとっては悲しいというよりも逆に神々しい不思議な感覚がありました。
葬儀社の方がそこに焼いたままの状態で配置されている骨の一つ一つに説明を加えてくださり携帯用のメタルのカプセルに入れられるような爪先や尻尾の骨などをカプセルに入れた後、ほぼ全ての骨を箸で三人で回収し骨壷に収納。この骨は粉骨にしていただき、更に小さな骨壷に入れてその上から綺麗な骨壷袋に入れていただき渡していただきました。そのうえでラミネート・カードの中に生前の可愛い姿で写ったスプーキーの誕生日、死亡日、四十九日の日付が書かれたカードを頂き全てが終了しました。
本当に驚くほど心のこもった丁寧な葬儀で、評判が良いのも当然!と思える素晴らしいものでした。他のどの方にもお勧めしたいきちんとした葬儀で価格もリーズナブル。こんな素敵なシステムが有るのですからやはり日本は成熟した文明国ですよね。
次男が虹の橋を渡っていく時にこうやって送り出せたことは最後に我々自身を幸せにしました。本当に葬儀社の方には深い感謝しかありません。
部屋に戻る時に次女がスプーキーの骨壷を抱えて帰ってきましたが、飾り棚の上にちょこんと置かれ小さくなった次男を見てまたポロッと涙が出てきてしまいました。
自分より後に産まれて自分より先に旅立っていく小さな命を見送る心の辛さは有り得ない程のインパクトがあります。これが私が小児科医になることを敢えて避けた理由でした。愛でる気持ちが大きければ、その別れを看取ることが続く辛さには耐えられないのです。