職種に関してはここではちょっと控えさせていただきますが、新入の皆さんは職種を問わず一度は検診を受けなければなりません。実に簡単な検診なのですが、必ず医師と向き合って問診の形式も入っています。
ここで今回「気になること」がその新人の女性に起きていることに気づきました。私の次女よりも更に若いその女の子、診察室に入ってきてなんとなくおどおどした、というか影を感じる女の子でした。
医者の仕事として患者さんの歩行や顔つき、体の造形、所作などをササッと観て神経学的問題その他の「ひっかかり」が無いかを探ることは診断学の基本です。しかし実際には診察は入ってくる前から始まっているのです。問診票に記入された情報だけでなく、その文字に震えや小字症などの傾向がないか、そして質問内容の理解度を見て知的能力の推測などもしていきます。勿論病歴や家族歴は素晴らしい推測の情報を与えてくれますが。
さて、その女性。入ってきて診察室に置いてある椅子に座った瞬間に私に顔を向けて1秒で異常に気づきました。
それはその女の子の右眼窩周辺に濃く拡がった蒼い皮下出血。そうです、何かにぶつかったか殴られた時にできる「青タン」と言うやつです。挨拶を交わして簡単な問診その他で他に問題がないことを尋ねていった最後に一言「その右目の周りの青あざは最近出来たの?」と聞いたのですが、女の子はこくりと頷きました。その直後にもう一言「一緒に住んでいる人かい?」と聞くと「彼氏」とのこと。
私は深い溜息が出ました。同じような年頃の娘を持つ親としてはあってはならない現実を目の前に見せつけられた訳ですが、私が踏み込めない領域もあります。私の娘に対して同じ事をしている男がいたら立てないようになるまで体を壊す事もできますが、この場合は彼女の選択と彼女の問題。
アメリカであれば通報して逮捕させると言う選択肢もあるのかもしれませんが、こう言うのは申告によるものなのでしょうか。目の前にDVの犠牲者がいると言う状況で私が取るべきアクションはと言う疑問がありましたが、成人でなければ即通報して警察などに介入してもらう事も今時は普通なのでしょうがどうしたら良いのか。
私は呻くように次の一言を彼女に伝える事しかできませんでした。「私も子供が3人いる人の親だけど、お父さんとしてはそんな男は許せないな」と。余計な発言と言われるのでしょうが。医師としての本音では無く、人の親としての発言が出てしまいました。そう言う男を選ぶ女の子の人生にもおそらく暗い何かがあるのでしょうが…。
DVをやらかすクソ男に巨大な災いが降り掛かりますようにと願わずにはいられませんでした。
下にはちょっと調べてみた日米の対応の違いを載せてあります。
| 項目 | 日本 | アメリカ |
|---|---|---|
| 通報義務 | 原則なし(子ども・高齢者は例外) | 州によっては成人DVでも通報義務あり |
| スクリーニング | 任意が多い | 州によっては義務化 |
| Safety Plan | 支援機関が中心 | 医療機関内で積極的に実施 |
| 支援ネットワーク | 行政中心 | 民間シェルター・ホットラインが強力 |
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