2024年5月15日水曜日

暫く見かけないと最近思っていたら

そういう歳なんだなという衝撃が一瞬で脳裏を巡った瞬間でした。

日本に帰ってきてこの病院に勤め始めて9年目に入りますが、自分と歳の近い看護師さん達と云うのは自然と仲良くなることが多いものです。まあ近い歳だからと言って親しくなる訳でも無い事は世の常ですが、それでも気の合う仲間の様な看護師さんはいるものです。

今日はちょっとした書類を事務所に提出しようとしてコピー機の真ん前をサッと通ったのでした。その時、これまた私と同い年の事務の女性が偶然私の前を通り「あら~、先生」と微笑みながらはなしかけてきました。

これはこれで何時もの短い会話なのですが、いつもと違う事が眼の前に飛び込んできました。それは、最近ある病棟で急に見なくなったなと最近思っていた私より一つだけ歳が若い看護師さんの名前。そしてその紙の上には病気による休職願いの文言が印刷されているでは無いですか…。

他人の秘密に…と思って一瞬、躊躇ったのですが、名前を見た上にその更に下に書かれている大きな文字の文章がどうしても目に飛び込んできたのです。

そこに書かれていたのは、どう考えても衝撃的としか思えないような深刻な病名。

一瞬どころか暫くの間言葉を失ってしまいました。それを見た事務の女性も「ですよね…、先生はお医者さんだからこの病気の子と解りますよね…」と言ったきりやはり黙ってしまいました。

数日前から事ある毎に脳裏に出てきて気になっていたこの看護師さんの事が誰に尋ねる事も無くその理由が判ってしまいました。しかも望まない形で。何時もは特に気になる事も無いのに、姿が見えなくなるとこういう形で脳裏に出てきて「探せ」と心が命じるような人物がいるのかと感じてしまいました。

まさか黙って病院を辞めたんじゃないよな?と思っていたのですがそんな事をするような仲ではないし、黙って辞めても気にもならないような人が殆どの中で「オッサン同志仲良くしようぜ!」と言って笑い合っていた彼女の名前に重なった病名に自分の年齢というものの意味が透かして見えたような気がした今日の午後となりました。

近所の病院に入院しているらしい彼女。数名でまとまってお見舞いに行かねばと思いました。

2024年5月14日火曜日

余りのAIの進化に憂鬱になるほど…

今の時代、ネットで何でも手に入るような感覚があります。

実際恐るべき量の情報が検索の手腕次第で、そして金の払い具合次第で眼の前のキーボードを叩く事によって手に入れることが出来ます。実際のところ、多くの情報は金を使わずとも手に入るし、AIに質問すれば単純なウェブ・ページ検索とはまた異なったレベルでの「まとめ情報」が手に入ります。

しかし、果たしてこれだけの事で本当に手に入れたいような「質を担保された刮目すべき情報」を見逃さずに手に入れていると言えるのでしょうか?特にAIがまとめてくれる情報には感心するような速度で、ネットの数種類のウェブページの情報をサクッと日本語や英語で返してくれるという美技を見せてはくれますが、未公開、非公開の資料。ネットには転載されていないデータと云うのはまだまだ山の様にあって、それらを見落とすことによって大きく判断を誤っているような事があるのではないかという強い疑念を個人的には払拭できません。

最近はネットの情報を完全に参照しながら、AIに卒論を書き上げて貰う輩も多数いるという話を耳にしますが、人間の知性の衰退と云うのはこういう形で始まるんだろうかと沈思する事頻りです。

今の時点で登場しているレベルのChatGPT-4及びそのvariation、そして生成動画等のAIでさえ、文章や静止画、動画等を無数にかつ短時間で生成して来るのを見ていると、その速度と質と疲れを知らぬ生成能力は人間が持つ想像力の存在意義を相当変質させてしまっているという事に畏怖を覚える程です。

数学の問題の簡単な証明は勿論、その先の方にまで推論の能力が上がり始めているとの事ですが、一体どこまで進むのやら。

既に医学の画像診断の分野では先進的な病院では当たり前のようにAIが画像上の異常を発見しており、何の予断も無い状態で世界最高レベルの人間の読影医とタメを張るかもう少し上のレベルの読影結果を返してきます。放射線科医達は仕事の方向性を変えるか、AIが診断を出してきた結果を再確認してendorseする事が仕事になってしまうのかもしれません。

実は娘がウェブサイトで提示しているアート作品群があるのですが、娘の名前を入れて娘のアート作品と類似の作品を描いてくれというような支持をAIにリクエストすると、全く違うモノではあるのですがかなり私の次女がどのような色遣いや傾向を持った絵を描くのかというポイント、エッセンスを応用したような不気味な作品を返して来て、思わず「え~っ」と
なった事がありました。

これからの10年。AIの真価を予想するには長すぎる期間ではありますが、やばい変化が押し寄せそうな気がします。



2024年5月13日月曜日

無くならないイジメ

脇で聞いていて腹が立ってなりませんでした。

ヘルパーで声のデカいオバサンが、廊下で聞こえよがしに入職してきて2か月の子を追い詰めているのを聞いていて流石に内心で怒り心頭状態になりました。

「もうこれはアカン。我慢ならん」という心境になった為、その声を聴いた直後に全ての仕事をストップして同室で作業をしていた師長を別室に呼んで現状を理解しているかという事をまず確認しました。

その上で、これを放置している状況で次のステップでもし入職している若手が鬱を発症したり、仕事を休職したり辞めたりするような事があったら師長の人事管理能力に関して疑義をあげる事を通知しました。私の病院では医師は看護師関連の病棟の仕事に関して口を挟まないという約束があるという事を前から知っていたので、ここは間接的に師長にノティスして私が口を挟む事による越権行為の抑止とパワハラ呼ばわりが発生しないように気を付けました。

事務方からもどのような行為に関して「パワハラ」と判定されるかという資料も貰って学習させられていますので、そこは避けるように動くしかありません。

何でか解らないのですが、このオバサンは良く調べてみるとあちらの病棟こちらの病棟で同じような事をやらかしては辞める辞めないという事を繰り返しているとの事…。

ここでもやらかす奴はどこに居てもやらかすという黄金の法則が存在しています。

病棟という小さな小さな世界で自分の日常の満足感を満たすためにデカい声で人を追い込み、その周りに自分の仲間を作って、(もしくは面倒くさいこのオバハンにターゲットにされないように動いて)自分の気に入らない若い人間を追い詰めるようないやらしい人間が「正しい人間」として存在する事を許す気はサラサラありません。

こういう学習能力の低い人間はどこかで自分の行為を強烈に反省させなければ同じ過ちを繰り返すわけですが、これから急いで収束させるように動くつもりです。

犠牲者を出すつもりはサラサラありません。

2024年5月12日日曜日

またまた岐阜県!

今度は恵那峡に行ってきました。

毎度毎度、ほんまに岐阜に良く行くな~と自分でも感心する程で、岐阜県観光協会の人も泣いて喜んでくれるレベルではないかと密かに考える程の頻度だと思います。W

さて、本日もゆっくりとしたスタートと言うかそんな時間から行動開始か?というくらい遅い時間からの行動開始。一時過ぎからの始動で息子とともに家を出ました。最近は北のほうによく走っているので距離感等言うものがついてきておりまして、このくらいの時間でも特に問題なく恵那での行動ができるだろうという予測。

運転してみると確かに「岐阜の一部地域」に対する自分の距離感が仕上がってきたのを実感できました。

マップに従ってちょっとした山道を駆けていくと直ぐに恵那峡の遊覧船乗り場に到着しました。高速道路を降りてあっという間なのでストレスも全くありません。到着するとボート乗り場の直ぐ側に障碍者用の駐車場があってアクセスは至極安全。

観光用のボートのチケットを購入すると息子と2人で1500円と半額になります。待合室では韓国からのオバチャン軍団がやって来ていて、愛想の良いツアーガイドさんも日本人の係の人やおみやげ店の人との間でのアシストに大忙しという感じです。どこの国でもオバチャン相手のツアコンとか鬼のように大変そうで、その忙しそうな様子に心のなかで「頑張って!」と応援をしてしまいました。

ボートは天蓋付きの50人くらいは乗れそうな感じの遊覧船。気づかないうちにあっという間に離岸して木曽川のダム湖を遡上していきます。そもそも、ダム湖として丁度100年前にできた恵那峡ですが、当時、福沢諭吉の婿養子福沢桃介が日本初の女優である川上貞奴と頑張って大井川ダムを仕上げていったことが資料館にもありました。アメリカに頼った大規模な起債など大変だったことがよくわかりました。

ボートでは岩の名前の説明が延々と続いたのですが、そのネーミングはいまいち無理強い的な感じが強くて、思わず唸ってしまう感じ。W最後の方では名前のつけようがなくて「名無し岩」とまで名付けられていた岩があったのを見てその感を強くし ました。

ただ、息子はこういう状況でのボートは初めてに近い感じで、ずっと緑の湖面を見つめて楽しそうでした。また連れてきたいですね、今度はもう少し晴れた日もいいかもしれません。

獅子岩です。これは説得力のある形です。
遠くに見える紅岩!近くで見てみたい…。
恋人が座って写真を撮りそうですが、実際は私と息子が近くに立って自撮りしました。W
おそらく関電による記念行事が催されるはず!!!!!!!
何だか如何にも飛び込みのありそうな橋…
それでも、遠くに見えた(一旦閉園となった)恵那峡ワンダーランドの向こうに見えた紅岩はものすごく印象的で、今度来たときはまた近くで見ないといけないと改めて心にメモしておきました。

帰りは真っ直ぐ家に!理由は簡単でしゃぶしゃぶが待っていたからでした。W

2024年5月11日土曜日

人生初のスーパー歌舞伎

遂に歌舞伎観劇デビューを果たしました、とは言っても「スーパー歌舞伎」ですが。

東京に筋金入りの歌舞伎ファンの知り合いが居るのですが、その方の助けを借りて名古屋での公演チケットを抑えて貰い、今日の歌舞伎観劇のデビューを果たしました。

通常、名古屋で歌舞伎公演が行われるのは御園座ですが、私自身は御園座の傍を車でササッと通過する事があっても中には用事がありません。数年前に御園座グランド・メゾンのタワマンが完成した折に一回にあるグッズの販売所に入って何気なく販売物品を眺めたくらいの経験しかありませんでした。

しかも、このエリアにおけるその他の用事としてはこの一角の角っこを曲がったところにある名古屋最古では無いかと思われる飲み屋「大甚」に一回行ったきりでした。

伏見の駅のホームで待ち合わせて先ずは腹拵え。最初に行こうと思っていた店は5時半からしか開いていない事が判明し、時間もそれほど無い事から少し歩き回った後で近場のコメダに入りました。これから観る「ヤマトタケル」はかの有名な梅原猛の作品。既に今年で38年にもなる上演作品ですが、主演を替え続け、台本に手を加えながら今まで素晴らしい歴史を刻んできた演目です。

しかも、スーパー歌舞伎という分野を創り出した第1作!観ない手はありません。

席は三階の左でヤマトタケルが鳥になって飛び立つワイヤワークの真下。流石は歌舞伎の通!どの席を取るべきか解っている人です。観劇開始前にスマホのスイッチをきちんと切って観劇準備。この時の為にオペラグラスも持ってきました。そしていよいよ開演!スクリーンに地球や銀河の様子が映し出されています。

それからは一部、二部、三部とそれぞれ20分間の休憩時間を挟みながらめくるめく時間が過ぎていきました。合の手を入れる方の事を「大向う」というのだと教えて貰いましたが、新たに登場するところで「澤瀉屋!」とか「成田屋!」とかいう声がなかなか良いですね。

演じられるうちに何か所も心に響く台詞やシーンがあって、特に「熊襲や蝦夷が古い因習を変えないのは、どんなに尊いものであってもダメだ!」という部分は全劇中でも心の中に焼き鏝を当てられるように残りました。恐らくこれって全ての伝統芸能に当てはまる警句だよな~って感じながら心に刻みました。

最後のほうでヤマトタケル役の市川團子さんが眼の前数メートルにまで迫ってきた時には思わず「わ~~~~っ」てなってしまいました。アイドルを見る少女の気持ちが分かった感じ?w

全てが終わって感動に浸ったまま締めのちょっと一杯。Barrel Beerで珍しいチーズやビールを食べながら今度は新橋演芸場や歌舞伎座で他の歌舞伎を見る話をして盛り上がりました。

最後に再び地下鉄のホームで再会を約して散会。次は東京でしょうか。

2024年5月10日金曜日

オッサンと健康診断

全国的に職場検診の時期です。

私の所も例に漏れず今がまさにその時期で、他に行っているバイト先の病院でも健康診断書の提出を求められるので、職場検診と云うのは入職後のこの時期なんだなと判ります。

私自身の場合、この職場検診というのに乗っかって自分で追加した項目を他の先生に依頼して調べて貰うようにしています。オッサンも還暦に近くなっておりますので、PSAとかBNPとかコレステロールの詳細とかちょこっとだけ正規の分よりも追加して検査を行い、その経時的変化を保存し続けています。

少しだけ余計にお金がかかるんですが、健康の追加的数値計測と思えば許せる範囲。CTによる画像診断で脂肪の量の計測や骨密度の計測を行った事もあるのですが、こういった検査はたとえ行うにしても5年に一回で十分だと考えていますので、今回の検査にもこういったものは入れていません。まあ、大腸検査や胃カメラと同じ程度の頻度で良いと思っています。

さて、今回返ってきた生化学的検査の結果なんですが、意外な事に全ての数値がほぼ全く問題の無いレベルでした。前回の検査で極僅かではあったのですが、
AST/ALT(以前はGOT/GPTと言われていた値)のそれぞれの数値がちょこっとだけ動いていたので「ヤバい」と思っていたのですが、今回は全く標準値のど真ん中でやはりチョットだけ安心しました。^^

今後も次第に深まる肉体的加齢の程度で種々の数値がどう変わっていくのか興味深いところですが、己がモデル動物になっているので、徹頭徹尾その値からは目を背けられないところ。

数字には出なくとも悪いところなんて幾らでも見つかる時は見つかりますが、とにかく数値化できるところに限っては(未だ出てきていない数値は別として)一安心といったところでしょうか…。

それでも痩せなあかんなと思っております…。

2024年5月9日木曜日

病的肥満・病と肥満

今までに何人かの病的肥満の患者さんを何人か入院して頂いて治療したことがあります。

病的肥満というのは「BMIが40以上の方,あるいは35以上で,肥満が原因となりうる病気を抱えている方」となっていて、バック・グラウンドに肥満由来の病気を抱えていないBMI35以上の人を普通は高度肥満と呼んでいます。

病的肥満と高度肥満の間には肥満由来の疾病の有無があるという「定義」ですが、実際には表に出てこないレベルでその萌芽は目白押し。まあ、実際には高度肥満になっている時点までに高血圧や心肥大、心不全、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症なんていう役牌のうち数枚を持っている人が多いんですけどね。

例えば新調170センチの人間がBMI35だとすると、その体重は101キロ越え!やはり高度です。これが病的~というカテゴリに入ると170センチで115キロ越え。やはりこうなるとやっぱり見た目的にも「・・・」となります。

基本、肥満の定義開始ラインはBMI25なんですが、実際は面白い事に癌死や全体的に死亡率に関してあるカーブが存在するのです。それは以下のもの。
これを見ると解るように、少なくとも男性においてはその死亡率がボトムになるのはやや肥満程度の所なんですね。女性においてはこれがもう少し下がって肥満のラインから少しばかり痩せたところにそのボトムが来ています。

ところが、それ以上に明確に面白いのは肥満の方になればなるほど…というだけでは無く痩せが極端になっていっても、やはり急激に死亡者の率が増えるのです。

実はそれだけでは無くて、高度な痩せ(るい痩)や肥満は認知機能も劇的に下げるのです。また、高齢者になって体重が大きく増減する事自体が認知症を増加させるという研究結果。
しかも、これは男女ともほぼ同じ結果となっています。やっぱり何事も急激な変化と云うのはリスクそのものなんですね。生理学的理由は当然裏にあるのでしょうが、感覚的に問題ないレベルの小規模な変化、もしくは変化がほぼ無い事が病や死から遠ざかる方法だという事を記憶の片隅にでも置いておいて良いのではないでしょうか。

2024年5月8日水曜日

やる気を削ぐ迷理事会

世の中では何らかの「社員」として組織の中で働いている皆さんが殆どで、経営者側に立っている人は個人を除けば僅かなパーセンテージだと思います。

ヒラから入ってそのポジションを時間と共に上げていく人がほぼ全てだとは思いますが、医者も人によってはこういう階段を昇ることを強いられる人も沢山います。

大学病院であれば、医局員から医局長、講師、助教、准教授、教授等という階段を、私立病院であれば医局員、部長、副院長、院長、理事などの流れなどもそういった流れの一つになるのでしょうが、その医師がそういう階段を昇る事自身に何を望むかによって全くそう言う事に関心を示さない人も沢山居る訳で、実際そんなもんどうでも良いという人も沢山おります。

給与がそこそこあって患者さん達と向き合う事自身に喜びを求める人にとってはそのような階段に興味を示さないのは比較的普通で、周りでもその日その日を医療技術や知識の研鑽に当てているような先生が沢山居られます。それぞれの分野でそれぞれに自分の強みを持つ事で悠々自適の生活を送っている人が多いという感じです。

今まさに私自身はこういう状況に近い感じで日々を送っているのですが、そういう点への満足とは別に、実際は病院の運営に関して強い不満を抱く日々を送っています。

何と言っても決定権を持っている人間が理事会に入っている人々なのですが、何だかもう「昭和の残渣」というか少なくとも感覚的にもう「時代から遠く取り残されている人達」が運営する組織の問題点が何時まで経っても改善されない事に通奏低音のように不満が溜まっています。

とは言え、こういうのって普通の会社人間にとっては極普通の日々の筈で、「お前が医者だからあんまり出会わんだけで会社員ではフツーの事ヨ」と言われて呆れられて終わりなんでしょうね。w

医者っていうのは免許持ってる仕事なんで比較的言いたい放題の事言ってあちらこちらの病院に移動することが出来るし、何ならバイトだけで食い繋ぐことも比較的普通に出来ますが、あんまりストレス多い時期が続くのなら辞めるっていうのもアリかもしれませんね。

病院の規模がデカいからと言ってその船体が沈まないなんてことは今時の病院経営ではまた食有り得ない事なんで、ネズミが沈む前に船体から逃げ出すように私も逃げ出すこともアリかななんて夢想したりすることも多い日々です。^^

東京女子医大の今の体制、何時まで続くんでしょうか?

2024年5月7日火曜日

理解できないモノを非科学的という非科学

解らない現象、理化できない現象を目の当たりにして多くの人は「?」という反応を示します。

実に素敵な反応で、この理解できないモノや出来事(現象)に出った時に恐怖を抱くのみでは動物レベルにとどまってしまうのでしょうが、それを不思議という感覚で捉える様な反応を示す事が出来るかがまさに動物とヒトの分かれ目。

何らかの科学教育を受けた人間であろうとも、己が判断できない事を「非科学的」と決めつけてそれ以上の判断や考察を止めてしまうような発言をするような人間はやはり信ずるに値するような科学的思考力を持っているとはとても思えません。居ても大抵程度の低い似非科学者。

その反対に怪しい事を怪しい事として受け入れつつも、その現象に怪しい言葉を被せて神秘を煽る様な連中もいわゆる「非科学」のもう一方の翼を担ぐトンデモ連の連中。

その間で右往左往する人々も可哀想なものですが、「理解できない現象・説明できない現象」等と云うのはその時代その時代の科学の水準に応じて無数にあったわけで、今もそれは全く変わりません。

解析の手段や理解する為の知識のバック・グラウンドの幅や深さは100年毎の単位で見ると、まさに指数関数的に爆発していますが、それでも不思議な事は次から次へと溢れ続け、更に調べる対象は増える訳ですが時間の経過とともに「昔は全くの謎だった事」が驚くほど鮮やかにかつ簡明に説明する事が出来るようになるなんて事が繰り返されたのが科学の歴史そのものでした。

例えば有名なのがチューリング・パターン。動物の体表の不思議かつ美しい模様は二変数の連立偏微分方程式でシンプルに表現されるもの。いわゆる拡散方程式です。コロナ・ウイルスが空気中で拡がる様子や、コロナに感染した人が群集の中を歩いた時にどうやって感染が拡大していくのか等もモデルとして美しく計算できるわけです。

別に神様が弄って云々という訳ではありません。

UFOも人魂も、己の脳を解析する脳の神秘も素数の分布も、「謎」と切り捨てた瞬間に神秘主義の餌食に。ヒトは常に謎と不思議を我が掌中で捏ね繰り回すマスターでなければなりません。

2024年5月6日月曜日

職場で泣いてる新人さん”達”

いよいよゴールデンウィークも終わり5月も普通に日々が過ぎていきます。

職場でも先月入ってきた看護師さんやヘルパーさん達のうち、若い子達(もちろん男女問わず)が、新しい仕事と格闘しているのを傍で自然に見る機会が増えました。

毎年恒例なのですが、年上の人達が「先輩」として新人さんを教える中でいろいろと問題が起きてきます。それは受ける側の個人的な種々の要因(理解力、キャラクター、性格等)が混ざった資質の差である事はもちろん、教える側の要因(理解力、キャラクター、性格)も物凄く巨大なファクターです。

脇から見るとはなしに見ていて思うのですが、やっぱり反りが合わないベテランと新人と云うのが当然あって、傍で聞いているだけでも「ああ、この人指導に向いてないな…」とか、「うわ、このひと新人いびってるヨ!」とかいうシーンがありますね、確実に。

そういう違和感を抱いた時にはそっと師長の所に行って状況を説明し、それがパワハラになったり新人の「折角の」やる気を開始早々削いでしまわないように「それとなく」教育担当から外していって新人に触らせないようにするのです。^^

文字で書くとシンプルな事なんですけど、こういう事態を私が直に感じる事ばかりではありませんので、そういう状況にあっても助けられないシーンというのも幾らでも有り得る訳です。それでも、出来る限りはコッソリ介入。日銀の為替介入と一緒ですね。w

人の指導に向いてない人がどういう人かというのを書き連ねるとこれまた長いので今日は書きませんが、逆に指導を受けるのに向いてないようなメンタリティーの人も居て本当に難しいものです。

それでも、新しく来てあまり時間の経っていない新人さん達が夢を萎まされたり、砕かれたりするような事が起きるのを完全に止めるのは無理。無理と言いたくないのですがやはり無理です。

それでも、本当にこんな事は起きて欲しく無いです。最初はダメに見える新人さんでも、一念我慢して育てられた後では「最初は想像もできなかったような」立派な職業人になるなんて例は掃いて捨てるほど見てきました。

とんでもない上司が居た時は訴えて欲しいし、我慢ならん時は別の人に相談して欲しいなって心から思うのです。

自分の子供達と同じような年齢の彼らを見ていると、心の底から頑張る彼らに何度でもチャンスをあげたいと考えるお父さんでした。

2024年5月5日日曜日

保険請求の闇

またやらかした連中が炙りだされてきました。

残念な事に周期的にこういう連中が出て来ます。通常はこういった事をやらかすと企業全体に巨大なダメージを受けるだけでなく、下手をしなくともその延長線上に破綻と経営者の入れ替わり等という事が起こり得ます。

実際、日本に帰ってきてあった出来事ですが、虐待で有名になったある施設は全国的な展開をしていたにもかかわらず、買い叩かれた挙句、完全に別の企業体となってしまいました。

今回は精神障碍者の訪問看護事業者のファーストナースが運営しているという「あやめステーション」が患者の症状、必要性に関係なく週に3回訪問するようなセッティングを全国に散らばる訪問看護師達に通知していたという話。

結局、過剰請求という奴で厚労省の最も嫌うタイプの不正に挙げても宜しいのでは無いでしょうか?恐らくこの会社にはこれから厳しい監査がガッツリ入って、今までの保険請求の束をガッツリ再精査。まさに脱税した時のマルサのような感じでお役人達が大挙してやってくる事でしょう。

病院にとって厚労省の役人というのはまさに恐怖の大王でして、どこの病院でも監査の時には院長を始めとして、理事長、事務長もピリピリしています。

今回のあやめステーションの件では「合法な範囲でやれるだけやれ!」というコンセプトで指示を出していたのであろうことはその指示の残るLINEなどが詳らかになった時点で更に明白になるのでしょうが、既に個人レベルのLINEに残っている画面画像などで上に書いたような話が漏れちゃってますので、厳しい再審査を受けるのは間違いないでしょうね。

再度の精査を受けた上で金の返済とか業務の一部停止などの命令を受けたらどうなっちゃうんでしょうか?それに、万一そのような厳しい目に遭わなくとも今後は厳しい厚労省の目に晒される訳で、大幅に訪問回数が減る事で利益の大幅な減少を見た時に従業員さんを今の状況で養っていけるのでしょうか?

今回の医療費改定で訪問診療自体にドライな大鉈が振り下ろされているのに、これで他の真っ当な日々を青い息を吐きながら過ごしている医療者側は厚労省に何の文句も言えなくなりましたね。

他の訪問診療を真面目にしている先生方は、ただでさえ辛い筈。間違いなく「よくもやってくれたな」と恨み節でしょうね。

2024年5月4日土曜日

いつもと違う状態の息子に

やっぱり親からみて子供の「異変」というのは前もって感じるものです。

長男がこの一週間弱は胃腸風邪による嘔吐と下痢に苦しめられた挙句、吃逆の抑制で二回ほど少量のクロルプロマジンを使用して事をブログでも記録していました。

結局、これらの種々の症状の組み合わせの所為で日常のリズムが大きく通常とは異なってしまいましたが、幸いにして一昨日からは体調も戻って元気になってくれていた様に見えました。しかし、入眠・起床のリズムという意味では正直「いまいち」という感じ。もう少し眠っておきたそうな様子だったんですが、嫁さんが眠たげな息子を起こして「通常の」リズムをつけようという感じで日常を過ごさせようとします。

自分としては、不規則且つ厳しい数日を過ごしたから寝せておけばいいものを…とは思ったんですが、そこは触らず。

今日も息子を連れてちょっとしたドライブにと思って高速を走っていました。守山を通過して尾張一宮のPAでちょこっと休憩と思った時に手を繋いで歩いていた時、何か何時もに比べて歩くのが遅めかな~?という印象を受けていました。

息子と小便を済ませた後、そこのPAに入っているStarbucksに入店。期待通り!全く混んでいません。^^

前から食べてみたかったGOHOBIメロン・フラペチーノというのを一つ頼んで、息子に食べさせてみました。傍から美味しそうに食べるのを見ていると、こっちも幸せになるのですが、実はいつもと少し違う様子が気になっていました。

それは、食べている時にジーッとカップを眺めたまま視線を動かさないのです。何時もはもう少し手や足を動かしたりするものですし、視線も忙しいものですが、今日の息子は一点凝視。私には強い違和感が残り続けました。

それで、それ以上の遠出は避けて家路につくことにしました。

帰りがけに息子が喜びそうなものを食べさせてやろうと思って家の近所にまで来たところ何と新しいマックの店がオープンしているのを見つけました。これ幸い!という感じで入店。オーダーして食べ始めたところで異変は起こりました。

そうです。てんかんの発作が出たのです。ジーッと手元のポテトやチーズバーガーから目線を外さない息子に引き続き嫌な予感がしていたんですが、やはり発作が起きました。

「あ、あ、あ」という声と共に顔や体も強直し痙攣し始めました。隣に座っていた30代くらいの二人の兄さんも戸惑ったような様子でこちらを見ていましたが、息子が真っ青な顔を酸欠で茶色に変えて口から唾液やバンズを少し噴き出している様子を見て戸惑うのは当然ですが、私は落ち着いて「てんかんの発作です。ご心配なく」と言って手短に説明すると「あ、あ~」という感じで了解して頂けたようです。

息子の少量の吐物をクリーンアップしてそのまま寝かせる事10分。通常であればそのままベッドに寝かせたりするところですが、ここは外出先。肩を組んで、未だふらつく息子を運びながら車の助手席へ誘導。家路まで5分です。

車を車庫に入れて、助手席で寝ている息子を申し訳ない気持ちを抱きつつ再び助手席から運び出しました。エレベーターを使って自分の家まで連れていき扉を開けて直ぐに寝かせました。そのまま夜の10時過ぎまで寝かせていたのですが、一時間ほど飲み食いさせたり、風呂に入れた後そのままにしていたら、珍しく自分でベッドルームへ行って一人で寝てしまいました。

体調が悪い時には、本人のリズムに任せるのが何よりと感じた1日の締めとなりました。

2024年5月3日金曜日

世間はゴールデンウィーク開始ですが…

先週から入れると有休を上手く入れたら10連休になるという今年のGW。

しかし、正直今の私にはあまり関係ありません。息子と一緒に過ごす日常の時間が少し増える程度でしょうか。理由は毎度簡単で、病棟に自分の受け持ち患者さん達が居ると世間は休日でも、実際には病棟の患者さん達の状態が気になってそう長い間は病棟をそのままにしておくことは出来ないという実情によるものです。

勿論、時代の流れに合わせて自分の病院でも主治医制が中心とはいえ、ある程度の分業や当直医への役割分担も拡大させてはいるんですが、実際にはそのドクター達にはそれぞれ出来るレベルというのがあります。

それは専門性の違いや経験値の違い等それらの「対応力」を決める要因は様々で、良いとか悪いとかいう類のものでは無いのですが、一番の肝は「常勤医がお互いをカバー出来るレベルであるか否か」というところです。

以前は内科医で信頼できる関係にある医師三人でチームを組めていたのですが、現在は私を含めもう一人「・・・」という感じの内科医が一人いるだけで、基本的に一人で病棟を任せられない状況。残念です。

アメリカに頻繁に帰って居た頃は任せられる他二名のドクターが居られたのですが、今はその自由はありません。orz

今日も昼に行けなかった分、夜も11時過ぎに病棟へ行って患者さん達の様子をナースの皆さんに伺いながら指示を出した後、最後に事務当直室へ。ところがこの当直室でまたしても長く「ある人物」と話し込み、気づけば午前1時に。彼らの寝る時間を私の討論が削ってしまい申し訳ない事をしたなと、帰り道の車の中で反省しきりでした。

2024年5月2日木曜日

息子の「しつこい」しゃっくり治療

実は先日胃腸風邪に罹った息子の最後の症状が残っていました。

それは酷いしゃっくり(吃逆)です。風邪症状が強かった時の嘔吐が原因だと思うのですが、もともと息子はゲップが良く出る人間。推定ではありますが、私と同じで食道裂孔ヘルニアがあるのかもしれません。

ですから、今回、こういう感じの胃腸風邪でしつこく一晩中吐いた後ではGERD(食道胃逆流症)のような状況を助長して吃逆を誘導した可能性が高いと思っています。

それにしても、通常、しゃっくり自体は大きな問題では無くて放っておけば気がついた時にはもう消えているというようなものが大半。長くても数時間から半日というところですが、今回の息子のはちょっと長すぎ。吐いたのが収束し始めるのと同時に出現してきた弱いしゃっくりが、次第にその回数も症状も強くなってきてほぼ3日にわたってなかなか眠れない程の強さになってしまったのでした。

都市伝説で「しゃっくり100回出たら死ぬ」とか言うのがネット上ではありますが、そういうギャグ系の冗談は別として、眠れない程キツイというのはやっぱり止めてあげたいところ。

私自身は数年に一回「先生しゃっくりキツイんで、止めて貰えませんか」という感じのお願いをされます。迷走神経反射を使って止めるような方法論もアリはするのですが、なかなかそこまで絵に描いたようには上手くいくもんでもありません。そこで、内科的に処方するのはコントミン(クロルプロマジン)という薬。

この薬自体はドパミン遮断効果をもつ鎮静系の向精神薬で、最も初期の統合失調治療薬としても使われてきた薬です。まあ、当時のそれの治療の時には1000ミリ!くらい使ってたんですけどね。

それ以外には古いタイプの抗アレルギー剤としては12.5ミリ。そして肝心のしゃっくり治療用としては一日に75-150ミリ程度となっています。

添い寝してあげていたのですが、しゃっくりが止まらない状態で夜中もずっとヒックヒックと寝不足風になっていた息子。ちょっと可哀想になってきました。そこで、横に居た私は夜中の3時に思い立って自分の病院に行ってコントミンの50ミリ錠を貰ってきました。

その上で、自分の息子には50ミリ錠の半分の25ミリをクリーンなカッターで切り分けて、眠れそうで眠れない息子に麦茶を渡して一緒に飲ませました。

暫く観察していたのですが、ちょくちょく横を見ていたら一時間半ほど経った4時半ごろには、この3日半ほど「全く」止まる事の無かったしゃっくりがピタリと奇跡の様に止まっていました。

最初は、おいおい息してるか?と思って寝息を聞いてみたらこれがスヤスヤ。^^

一体だれが最初に発見したのか知りませんが、極少量のクロルプロマジンがこれほどしゃっくりに有効と云うのは驚きでした。翌朝も取りあえず無症状。これから後、午後になって少ししゃっくりが戻ってきましたが、それほどの強さではありません。

再度使用するか否かは程度を見極めていきますが、先ずは取りあえず短期間のPPIの投与を行っていく事も試しておきたいと思います。

ヤレヤレでした。

2024年5月1日水曜日

責任者出てこい!w

もう本当にお前らときたら…と愚痴りたくなるほどひでえ奴らが居るもんです。

この前、何かのテレビの広告で「医師の94.X%がこのXXを推薦しています!」何ていう文言を流していましたが、これってそもそも「医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、(薬局)その他化粧品等の効能効果に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は(学会を含む)団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は[選用している等の広告を行ってはならない。]という医薬品適正広告基準に違反していると思います。

良く調べてみると、実に微細にわたってこういう広告の基準は制限がかかっておりまして、医師の推薦だけでなく、健康食品の広告で明確でない効果を明示または暗示する事も禁止。 例えば、栄養機能食品で謳うことができるのは栄養機能のみ。それに反すれば医薬品医療機器等法68条違反。 また「癌の専門医」や「糖尿病専門医」等の各分野の専門家である肩書きを出す事も禁止等と法の網は細かく悪党共を捕まえる網の準備をしています。

要するに冒頭に述べた様な「医師の94.X%がこのXXを推薦しています!」というような広告は何を宣伝するのかは別として可能な限り忌避するべきであって、そもそもそういう紛い物をもっとも買ってしまいそうな騙され易い年よりやその文言を判断する為の学問に縁の無い人達を、経済的、または健康被害者にしない為の堅固な壁なのです。

しかし、このネットの時代においてはそういった「微妙な」隙間を埋めるかの如く雲霞の様に黒い広告が湧いて出ます。完全にアウトなものや限りなく真っ黒なモノ、大丈夫と見せかけてやっぱり完全に黒いもの等、それはそれは多彩な騙し広告が「医師の推薦」や「XX学会が認めた!」とか「医学博士」等と騙って溢れてきます。

ちなみに医学博士と云うのはとりたてて医師でなくても学位を取りさえすれば名乗れますので要注意です! 

健康に対する効果を謳った「らしい広告」は全て眉に唾をつけて眺めるとともに、一切の購入を控えるべき筋合いのものだと思います。

そもそも「医師の94%が推薦する~」って、俺そんなの一回も聞かれたこと無いぞ?って、やっぱり俺は医者の中に勘定されてないって?こりゃまた失礼いたしました。