2023年5月19日金曜日

患者さんの失踪

患者さんが再び失踪しました。

これはコロナ禍において暫くの間は無くなっていたインシデントでした。病棟が閉鎖されているわけですから基本的にこのようなことが減るのは理解していただけると思いますが。しかしながら、昨日久しぶりに発生。勿論コロナによる病棟の閉鎖という事象が消失したことによります。

失踪の多くの理由のうち最大のものは認知症由来のもの。今回の失踪はそれです。もう一つの大きな理由の一つは自由を愛する「ある程度」わがままなキャラを持つ人々によるものでしょうか。実際に統計をとってみれば細かい数字として院内での傾向は出ると思いますが、それはされていませんのであくまで主観ですが。

一度だけ先輩医師の患者さんがその高齢女性患者さんの御主人が刑務所に送られたことを悲観して失踪後、病院の屋上から飛び降り自殺をされたことがあります。この方は認知症も患っておられました。更には院内の思いがけない場所に身を潜めて「迷子」状態になっていることがあります。使われていない部屋や地下などで見つかることがありますので、毎度院内を徹底的に捜索する必要があります。

とは言え院外に逃走するパターンもごく普通にありますので、こういう場合は院内から外へ10人くらいの人間で飛び出して「全方角」と「有り得そうな場所」を絨毯爆撃のように創作して探していきます。

このれによってどこかのお店の中で見つかったり、バス停の前で見つかったり、近くの公園で座り込んでいたりなどということも有るのですが、既に探し出して直ぐくらいに警察の方へ行った民間の方々からの「何だか挙動不審な人がいる」とか「パジャマで立っている人がいる」とかいう連絡で確保されている人達も少なからず居られます。

何れにしても、我々にしてみれば患者さんが無事であればまずは一安心。お金を持っていてかつ認知能力に問題無い人なんかではそのまま何処かへ消えていくこともあるのですが、こういった場合はもう我々の手には負えないので警察の管轄に移行しますが、殆どの場合は病院に来る前の「元いた場所」や「友人の家」等に居られることが判明して、以降は役所の管轄として取り扱われることに。

まあ、結局のところ病院という場所は精神衛生法の極一部の場合を除けば無理に居なければならない場所ではありませんので、患者さんの自由というのがほとんどなんですけどね。


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