2026年8月1日土曜日

痛みや辛さという「感覚」

我々は健康で長生きでありたいと望む人がほとんどだと思います。

しかし、実際にはそう簡単にはいかない。遺伝的背景、生活習慣、事故、その他の要因で驚くほど容易に健康という本来「こうあって欲しい」という線路からズレていく訳ですが、それも人生。受け入れたいか否かは別として現実として眼の前から迫ってくる。

私の場合はそれが僧帽弁腱索断裂という形で突然登場。しかし、これとて一生のうちに1000人に1人か2人はかかるというレアに聞こえるものの、医学的なetiologyとしては比較的コモンなもの。今の時代開心術という方法があるからよかったのですが、100年前であれば恐らく次第に心不全が進行して今頃は確実にあの世に行っているであろう疾患です。

私自身はこうやって今でも生きていますが、しょせん今の心臓は傷物。w

病気になったからこそ若い時から経験できた「大病を患う」という現実の意味を文字通り強制体験させられた訳ですが、今になってみると人の病気を診る人間としてあり得ないほど貴重な経験だったと思います。若くて健康で筋肉隆々であるときに心や体を病む人の気持ちが解ることは先ずないでしょう。

丁度、生まれつき大富豪の息子として生まれた人間が「貧乏人」が明日の飯の心配をしなければならない現実が世の中には普遍的に存在しているという事実、世界に目を向ければ一日16時間の労働をして100円も貰えないような過酷な児童労働をさせられている子供達が有り得ないほど普通に発展途上国にいるという事が現実として理解できないというのと同じだと思います。

そういう「体験していない事」を理解する想像力というのは人によって大きく異なると思いますが、それでもやはり実際に体験した人間にしかわからないものはあるのです。

そして私が考えるそのなかなか理解できないものには痛み、辛さ、恐怖といったものがあると思うんですね。これらはその本人にしか解らないものの筆頭だと思います。これに関しては寄り添う事がまず大事で、「その人にとっての感じ方」に先ずは理解を示すことが大切だと本当に心の底から思います。

外見から「たったこれだけで?」そんなに「痛い・辛い」と言うの?と言うのは簡単なんですが、それは想像力の欠如。この感覚の個人差は本当に大きくて人によっては「嘘でしょ」と言う言葉を吐く人も居るんですが(たとえ病棟でも!)、これは絶対に吐いてはいけない言葉。

人の痛みをわかるというのは本当に難しいものです。何時でも自分自身を戒めながら「その人の感じ方」を可能な限り感じるようにしていますが、これが本当に難しいです。実際は神経学的な知識のみならずその疾病の経験が豊富ならばその人の事をわかってあげられるのでしょうが、万病を図べ手経験している筈もなく…。

今日も明日もわからない事をわかろうと挑戦する愚鈍な俺の日々です。

2026年7月31日金曜日

息子と二人で生活する理由

実は明日から息子と二人で生活します。

理由はシンプルで、嫁さんが福岡に飛んで行って長崎の実の弟と妹、そして義母と落ち合って「松田聖子」のコンサートに行くのでした。しかも、かなり凄い席(前から二列目!のほぼ真ん中)がたまたま取れたようで、本人たち大喜びの様です。

なんだか二週間くらい前からセット・リストとかいうコンサートで演奏されると思われるリスト一覧を順番に並べた自作の表を一日中聞いて鼻唄だったり声出したりして歌っています。本当にウキウキとしているのが遠くから眺めていても判るほどで、何がそんなに嬉しいのでしょうか…。

移動直前の今夜は沙也加ちゃんのコンサートのビデオも観て気持ちを盛り上げているようでした。「神田沙也加ってこんなに上手かったっけ?」と嫁さんに尋ねたところ「この子はどんどん後になればなるほど上手になって、特にミュージカルとかに出始めてからはグングン伸びたヨ!」との事でした。ここまで伸びていたのに、クソ男に追い詰められて自ら命を絶ったとか本当にこういう年頃の子を持つ親としては気が狂う程の怒りと喪失感を感じた事でしょう。

さて、目の前でカレンダーの裏側に何かの曲名を派手な色のマジックで大書し始めました。「なんじゃそれ?応援メッセージかなんか?」と尋ねたところ「これは、コンサートの途中でリクエスト・コーナーというのがあって、そこで歌って欲しい曲を出す準備」との事。謎のアクションなんですが、聖子ちゃんのコンサートではこれがマストなんだそうです…。謎のシキタリ多いんですね。w

そして最後に聞いたのは聖子ちゃんのコンサートでは必ず聖子ちゃんカットとか聖子ちゃんの往年の服を着て「めかしこんだ」オバさん達が登場するのだそうですが、この人達はほぼ毎回みんなの写真のターゲットになるのだとか!

なんかみんな同窓会のようにして愉しむんですね~。

実に良い事だと思います。十分に愉しんできて日頃の疲れを部飛ばしてきてまた帰ってきてくれれば私としても何よりです。^^

2026年7月30日木曜日

ゴキブリ登場

年に一回程度ですが、病棟でゴキブリを見ます。

二階の病棟くらいであれば窓を開けた事で野生のゴキちゃんは何時でも飛び込んでくることがあり得ます。そして実際に年に一回くらいは床を歩くゴキちゃんが見つかってしまうのです。

その上で考察まで入れると結局沢山の患者さん達が毎日3回食堂でご飯を食べますから、餌になる可能性のある破片や汁はどうしてもどこかにある訳です。いくら掃除しても破片でさえも餌という意味ではゴキちゃんには大盛り定食そのものでしょう。

今回の登場では看護師さん達が数人逃げ惑う逃げ惑う。w

わたしにとってゴキブリなんて言うのは平たくて素早く歩き回るだけのオブジェそのものですから何てことは無くて、近づいてきたらソレを触れない皆さんのためにティッシュでさっと掬ってゴミ箱へポイするだけです。

いつも思うのはこういうものに対する恐怖心の発生というのはオリジンは何だろう、プライミングは何なんだろうといつも考え込んでしまいます。自分自身の場合で言えばこういう身体が竦むようなオブジェクトは女郎蜘蛛とカニ。

どうも手足が8本あるものがダメっぽいです。あとは多くの人がダメなのは蛇でしょうね。これは確かに私もダメなもののひとつ。多くの人にとって手足の数が親しみを持てないものに関してはキット遺伝子のレベルで「危ないもの」という検知能力が備わっているんだと思います。

しかし、知り合いの兄さんは家に蛇買ってるんですがこれは安全な蛇。息子さん達は当たり前のようにどでかいこの蛇を体に巻き付けてにこにこしています。慣れとは恐ろしいもんですね。人が恐怖を感じるのは偏桃体だといいますが、そこに反応するためのステップがどういう組み立てでそうなるのか謎の答えを知りたいもんです。

まあ、とにもかくにもそういう訳で今日もゴキちゃんを捻り潰して看護師さん達からは感謝されました。

2026年7月29日水曜日

大災害時の緊急医療体制

新しい情報によるとイオン・モールの災害はガス爆発によるものとの事。

お客さん達を送り出した後で従業員さん達が店内でガスの臭いを感じる中での罹災との情報が出されていますが、正確なところはまだまだ闇の中。何よりも多くの就労者の方(恐らくバイトの方々も多いのでは?)が亡くなられている様子。各種の動画を見る限りではウクライナのミサイルが落ちた時の衝撃と本当に同じ状況にしか思えません。

かなり離れたところで走っていたトラックの荷台の壁の吹き飛び具合や同じように遠くのガード・レールのガードが剥ぎ取られて吹き飛んでいるのを見ると、同じ建物内で近傍100メートル以内に居た人達が恐ろしい状況に遭遇されたことは容易に想像出来ました。どうか被害に遭われた方が最小限で済むように祈るとともに、罹災された方々とその御親族の方々の気持ちに近くで寄り添う事の出来ない事に本当に申し訳ない限りです。

我々医療人はこういう大震災の発生時に先ず考えてしまうのは我々自身の施設で同じ事が発生したらどう動くのかというのを被害の段階別にどれほど適切に対応し、どれほど人的被害を軽減できるかという話です。

災害は必ず起こる。しかも日本では巨大災害が周期的にやってくるという大前提で種々の対策を練り、大災害がやってくる度に設計の考えのボトムアップがなされ耐震基準が改善され法が整備されてきました。しかしそれでも想像を超えてやって来るのが大災害。

私は自分の今勤めている病院がその手の準備が全くダメなことを自覚しています。駄目な状況である理由は簡単で、その「準備している」という病院側の文言が厚労省の標準的な仕様のPDFをダウンロードしただけのお粗末なものであって、残念ながら自分の病院用に改変を入れたものでは無いという事を知っているからです。

そんなものが実際の災害時に役に立たないという事は日の目を見るよりも明らかな事であるのに何度注意をしても実物を準備しない、要するに準備する能力が欠如しているという話。

今回の熊本での10年ぶりの大地震でも、やはり想定していたにも拘らず想定を超えて被害が拡大し対応できていない病院の話がD-MATの先生経由で入ってきております。それ程までに現実は厳しい。況や準備さえしていないとは!という話です。明日も事務方をつついて凹ろうと思っています。対応する能力と責任が無い人間には退いてもらわなければなりません。

大規模災害対策準備委員会が無い病院など訴えられて当然だという心構えの欠如こそが恐ろしいです。

熊本の悲劇から学ばなければ。

2026年7月28日火曜日

熊本の地震・またか!

そろそろ仕事が終わるなと思って病棟で少し寛いでいたところ、NERV防災アプリがピコーンと立ち上がってきました。

自分自身のセッティングは己の田舎が関係するところであれば通知するようになっているので、今回の通知は長崎関連で入ってきたのですが、その通知を見て文字通り我が目を疑いました。
場所が九州のど真ん中である事に愕然、そしてその震度が7などと言う巨大なものである事に二度驚き。これって前回巨大な橋が落ちて大学生が亡くなられた時の熊本の大地震と同じことが起きとらんか?というのが先ず頭を過りました。そして次に現在再建中のアノ熊本城はどうなった?という大きな疑問符が頭に沸き上がってきたのでした。

長崎の義理の母に電話したところ通話中なのか繋がりません。そこで長崎にいる別の昔の教え子にLINEしたところ「めちゃ揺れた!びっくりした」という話。暫くして義理の母とも繋がりましたが、曰く「人生で一番揺れた」とのお話でした。80歳の義母が言うのだから相当の揺れだったのでしょう。

暫くして熊本の画像が一部流れてきましたが、イオン・モール熊本の建物の損壊具合が異様だったのが大変気になりましたが、続報では多くの方が安否が分からないとの事。無事であることを祈るしかありませんが、このような巨大災害が連続して熊本を襲うとか、天災の無慈悲さと人間の無力さに憤るばかりです。

どうか被害が最小限に収まりますようにと祈るしかありません。