3冊の題名は①「社交界」たいがい②良心的③一寸さきはヤミがいいというものなんですが、昔から私は山本夏彦氏のファンで、その一刀両断振りは普通に考えれば諧謔と機知を超えた素晴らしい切れ味の批評の連発。
新聞屋と銀行屋と株屋の話は何時も飛びぬけて面白いのですが、氏の話が常に面白いのは世間のモノの見方とは一線を画す切れ味と裏面の真実の暴露があるから。世間の常識が如何に嘘に塗れて間違っているのかというのが次々と解りやすく示されます。
いつも彼の文章を読んで思うのは正義を標榜する人間達の胡散臭さの観察眼の鋭さでしょうか。
ものごとは裏と表から見てその評価を定めないといけない、そして人間というものを純粋な正義などと見誤らない事を何度も何度も対象とインシデントを替えて教えてくれます。そして必ず戻ってくるのは上に太字で書いたような正義を騙る人間達の裏の顔を嗤えというものでしょう。
社会の木鐸を標榜する人間達の垂れ流す道徳論を嗤い、戦前暗黒史観を繰り返し「それは嘘だった」と叩き続ける。歴史というのは書いたもの勝ちですから、正しかったことを少数であろうと書き続けることが大事。そういう意味では既にとうの昔にお亡くなりになった氏が繰り返し書き続けた数多くの文章は何時の日か大きな意味を持つことと思います。
私は彼を右翼とは思わないし、極端な思想の持ち主だとも思いません。淡々と世の中を見つめて自分の体験した世界をもとに自分の皮膚感覚で事実を記述する。なかなか出来そうで出来ない事です。
恐らく多感な時期(15歳~18歳)をフランスで育ち、その後に戦争に突入するような当時の日本に帰ってきたのが普通の日本人とは違うものの見方をさせたのかもしれませんね。
人とは違うモノの見方、常に持っておきたいと思います。(変人扱いされても。w)