名古屋に住んでいると、下呂温泉は何となく目と鼻の先と言う感じで皆によく話をされます。
特に看護師さん達や医師等の話では当たり前のように何らかの長めのお休みの時にちょっと家族でとか夫婦で二泊三日とか言う感じで下呂に行かれるのです。ところが私自身は仕事の忙しさもある上に、そもそもが名古屋の人間ではありませんので今までは中部地方の温泉の有名所と言えば下呂に行ったこともなく、見栄や静岡側に出て湯に浸かったこともありませんでした。
唯一あるとすれば、アメリカに行く前になる今から数えれば四半世紀も前のことですが、両親の還暦の祝いに岐阜高山に連れて行った時の経験くらいでしょうか。その程度です。ですから今回のことは親父を一緒に連れていくという実に有り難い下呂初体験という経験となりました。
今回泊ったのは
今宵天空に遊ぶしょうげつと言うお宿でした。ある方のご紹介で「ココが眺めが良いですよ」と言うお話をいただき予約となりました。
下呂へ行くまでにまず
ちこり村と言うところで昼を食べたのですが、ここに着いてもうビックリ。平日の月曜日であるにも拘わらず駐車場は満杯で、地産地消の野菜その他の製品には人が群がる有様。中津川の一大名所みたいですが、中で食べ始めて二度びっくり。種類が多く、かつ味も良いので食べても食べても正直全く食べきれないのでした。w
こんな状況で既にお昼の時点で腹はパンパン。夕食の方は入り切るのかという疑問を抱えたまましょうげつへ。
2時ちょっと前に到着したのですが「しょうげつ」の入り口では仲居さん達が総出でお出迎え。外国の方だなと思ったら(後で知ったのですが、ネパールの方達でした。)上手な、かつ難しい日本語を流暢に操ってのご案内。美しく格式高い典雅な雰囲気の旅館のエントランスから入って行って上階の部屋へ。
確かに聞きしに勝る素晴らしい眺望で、部屋の内湯は勿論、部屋の外にも檜風呂がありました。露天風呂に入る前にまずはこの檜風呂で息子と一緒に入浴し、外のしとしとと濡れそぼる雨音を聞きながらの愉悦を味わいました。ここから上がってすぐに一度しょうげつの送迎で下呂の駅前へ送って頂き、温泉博物館や下呂プリンなどとともに幾つかのお土産屋お酒を買い込んだのでした。お土産屋さんには何と長崎の口之津と言うところの出身者のおばちゃんがお店で売り子さんをしていました。下呂にお嫁さんとして来られて既に数十年、すっかり岐阜県人でした。
雨の中の下呂はなかなかに味わいがあり、むしろ晴れていない分の「情」が感じられる良い土地だな~と心より感じた次第です。
少しばかり雨に濡れはしましたが、これから直ぐにホテルに戻って露天風呂に入ると思えば寧ろ気持ち良い雨でした。そして露天風呂には親父と息子と私の三人で入ったのですが、親父が体を洗ったあとにいきなり別の入湯者と長話を始めて驚きました。内心親父にもコミュニケーション能力がこれほど有ったのかと!笑
その後、この(驚いた事に元長崎は大浦出身の方!)名古屋在住50年の男性と私もお話をさせていただくことになりいろいろと話が弾んだのですが、既に高山に三泊、下呂に4泊の予定でしかもこのホテルを出たあとの残り二泊は別の宿を妻と二人で過ごすために既に取ってあるとのこと。リタイア組だとは仰ったのですが、正直人生に余裕のある方だなと感心した次第でした。
この時もうひとりの男性もお話に加わって来られたのですが、この方はボクシングジムの経営者で癌を克服されてきた所謂サバイバーと呼ばれる方。元々フェザー級で覇を競ったプロの方だったとの事でしたが、何回か再発する小細胞癌を乗り越えてきた立派な方でした。
ちょっとした短い出会いだったのですが、たったこれだけの短い時間でも貴重なお話を伺う時間が持てたことは私にとっては幸運でした。
さて、この後はいよいよ待ちに待った夕食時ですが、昼間の腹の張りはすっかり消え失せて再度の戦闘モード。しかし、出てきたメニューに二度驚き…いくら何でもこれは多すぎますよ!と。食が進み中盤に来た時点で既にかなりギブアップモードに近づいてカラータイマーが点滅し始めた感じっだったのですが、料理自体は全て美味く飛騨牛などは口の中で溶けていきます。やはり食べたい…。
結局、全て食べてデザートまで口の中へ。
一番驚いたのは親父の食欲でした。85歳にしてこれらを全部平らげ「もう腹一杯じゃが」とは言いながら、平気な顔をしているのを見ると内心「やべ~ジジイだ。笑」と感じた次第でした。デブになるのにはそれなりの理由があったのでした。
さて、この後は再び男三人で露天風呂に浸かり長湯。素晴らしい下呂の夜を堪能したのでした。人が働いている平日の休日堪能ほど贅沢な体験は無いです。^^