2023年9月21日木曜日

糖尿病の名称変更の方針

最近この議論を医療関係者、特に医師専用のネット記事で見かけることが多くなりました。

糖尿病というものに親族一同や友人が縁のない人達にとっては一体どんな病気で、どんな事が原因でなるのか等も知らないのは当然ですし、名前からするとオシッコに糖分が出る病気?と考えるのはとても自然だと思います。

しかし、世の中は種々の差別を無くす方向へと動くご時世。以前、精神分裂病と呼ばれていた疾患が私の滞米生活中にいつの間にか統合失調症と呼び名が変わったように糖尿病と言う呼び名がダイアベティスと言う呼び名に変わるとか変わらないとか・・・。

学会の偉い人達に言わせると、この呼称についているスティグマ(汚名)を払拭するのが目的なのだとかいう話ですが、私自身は「?」と言う感じです。

ダイアベティスというのは結局のところ英語表記のDiabetes Mellitus(密のように甘い尿が常に出る、と言う意味)の”尿が常に出る”と言う部分を抜き取ったものになります。しかし、実際にガンガン尿が出てしまう病気は他にもあって、これだけではちょっとねという気もしないでもないのですが。

我々日本の医療人はというと、糖尿とかDMとか言う呼び方が比較的一般的で、これに1型、2型(他にも妊娠糖尿病などもありますが)等という区別をつけているのが現状です。そういう訳で、今後もしダイアベティスと呼ばれるように仮になったとしても、この呼称に変わるのは実務的には恐らく10年はかかると思います。更に新研修医や学生が古い世代と置き換わる頃には大昔に消渇と呼ばれ、1907年から糖尿病に変わった呼称が更にダイアベティスか何かの今後最終決定されるであろう呼び名に変わることになるものと思います。

しかし、病名と偏見というものが名称変更によって本当に大きく変わるものなのでしょうか?今度はその新名称にその病気に対する偏見を持つ者たちが手前勝手なシールを貼り付けるだけではないのかという気がします。時間が経てば元の木阿弥。

統合失調も、ネットでは統失から糖質等という蔑称に変わっただけで何も変わらなかったような気がするのですが?変わったんでしょうかね。(大規模調査でこの点を解き明かした論文がきっとあるはずですが。恐らく日本精神神経学界とかの受託研究?東大の研究では軽減効果があったと2015年時点では報告されていますね。)

障害者への偏見と同じで、疾患や障害への偏見を持つ者に呼称を変えさせても心の中の差別を根深く植え付けられた者にはその偏見は容易には除去できないというのが私の意見です。言葉狩りとは異なりますが、呼び名を変えても本質的部分で啓蒙教育を行う方に時間をかけたほうがよっぽど良いと思うのですが?


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