私にとって患者さん達の血液データで何とも理解に苦しむことが長年も続いていました。
実は病院における食事というのは、カロリー計算は勿論、病気によって減塩だったり、低蛋白だったり、肝臓食、その他諸々の刻み具合など多種多様の構成で成り立っています。患者さんによって少しづつ量や柔らかさ主食・副食の組み合わせが違っていて、普通の食堂とは全く異なる細やかな配慮が求められるのが病院食というものなのです。
私の疑問というのは普通に正常なアルブミン値で他の病院から転入院してきた患者さん達が「何故か」私の病院に来た後アルブミン値が下がっていくのです。殆ど消化器などに何の問題もない多くの患者さんの殆ど全員で・・・。
私は提示してあるカロリー値の食事を提供している外部の業者が本当に正しくちょろまかしや中抜き無しで食事を提供しているのかという強烈な疑問をいだき続けておりましたが、この事を給食栄養課の担当者に何度か問い合わせても「正直少ないような気もするんですが」と言って話を濁してきます。
それでも全般的な低アルブミン血症の傾向は収まらないし、成人の普通の患者さん達の多くも「先生、腹が減ってしょうがないんだわ」と直接医師である私に訴えてきます。
そこで、栄養課のヘッドに真剣に「絶対におかしい。大きな身体活動をしない普通食を食べている成人の患者さんが成人に必要な普通の量の必要カロリーを取っていてうちに入院しただけでこんなに総じてアルブミン値が下がる理由は量の欠如しか有り得ない!」「適宜抜き打ちチェックをして数字でその量が提示された量通りあるのかどうか調べてください!」とリクエストしました。
一ヶ月ほど経って結果が出て愕然。
グラフに示された全ての種類の全ての食事に対して本来提供されるはずの量に全く足りていなかったのです。ものにもよりますが、平均して7掛け。ひどいおかずになると三割とか5割とか・・・。
そのテーブルを見た瞬間私あ栄養価の人間に言い放ちました。「これ犯罪だよね?」と。
実際ここ数年の業者の提示する給食費はうなぎ登りに右肩上がりなのに、量はこのザマ。何という堂々たる犯罪でしょう。
実は以前、この業者に栄養価の人間が「少ないんじゃないんですか?」と聞いたらしいのです。その時の答が実に堂々とした盗っ人猛々しいもので、「証拠もなく我々を疑って騙してるとでも言うんですか?」と言ったというのです。噴飯ものですが。
ハッキリ言って栄養課も脇が甘いし馬鹿です。データもなしに大きな議論をするとか戦いの基礎さえ出来ていないんですから話になりません。しかし憎むべきはこの汚らしい犯罪。
「言うに事欠いて」とはこの事でしょうが、全くとんでもないものです。文字通りの逆ギレそのもの。w
このデータを持って理事長に今回の秘密の調査を行った経緯を手短に述べ、データを見せたところ直ちに事務長のところへ直行。給食委託業者のトップの人間を次の日に呼びつけて話し合いの場を持ち始めたとの報告を受けました。
さて、事の顛末はどうなることやら。資本主義においては性悪説で大手業者を監視するのが基本で良さそうです。今回のことを反省し、栄養価は今後は年がら年中抜き打ち調査を繰り返すとの確約を私にしてくれました。
データを聞いて腸が煮えくり返った私ですが、気の毒なのは患者さんです。あの患者さん達の「お腹が空いて敵わん。ここの飯は少ないよ~。」と言う言葉は嘘偽りのない呻き声だったのでした。
この会社に天罰が下りますように!
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