2023年9月16日土曜日

患者・家族とコミュニケーションがとれない医師

今の時代は医療技術の中に患者やその家族への病状や治療行為の説明等がきちんと出来ないと「大変なこと」になる時代だという認識はかなり医療現場の常識になってきたと思います。

日常の医療行為というのは常に何らかのリスクが潜んでいるもの。今迄に1万人に使用してみて表面的に何の副作用も示さなかったような薬剤であっても1万1人目に予想もしなかったような重篤な事態が発生することは常にありえるわけです。最も劇的な例ではStevens-Johnson症候群などがありますが、そこまでには至らずとも単純に医師側や患者側がそれに気づいていないだけで、心電図上の異常や肝酵素の上昇などを来しているような状況というのは常に存在し得ると考えるのが寧ろ医療従事者側としては常識でしょう。

そういった投薬・注射などの目に見える形での治療行為に関連した行為のみならず、検査行為などでも多くのリスクが裏側に潜んでいることも多々。胃カメラや大腸ファイバーでの検査などでも、穿孔や出血のリスクは幾らでも存在しています。それらの検査の専門の先生ほどそこら辺は熟知されていて、例えば肝硬変の患者さんでの食道検査は緊張感の高い状況で施行されるのが普通です。

こういった「起きるかも知れない大小のリスク」を事前に全て説明しようとすると、今の時代物凄い量の事前の説明・承認書類が必要になってきそうですが、実際に大規模病院ほどそれらのサインを要する承諾書は嫌になるほど自動的に吐き出されてきます。まあ、それをきちんとした説明と受け取るか、医療者側の事前の言い訳と取るかは自由ですが、実際にはその行為の後に何が起きるかは別として「まずは書類によるサインをとっておかないと」裁判では負け必至のような時代です。

昭和の頃のように事前の詳細なリスクや治療の中身の説明もなしになんか一生懸命やりましたが、それが及ばずこのような事態に至りましたなどという説明はもう受容されない時代で、リスクの高い治療行為は上級の医療機関に集中して上げていかれる時代になっています。

そんな時代に患者さんやその家族にヘボな説明をやらかすような医師が居たらどうなるか?当然の事なのですが家族の怒りを買い病院を変えてくれと言われたり、訴訟のリスクに火が着いたりということになる訳です。実際に私の周囲で発生しているのですから日々こっちまで緊張させられます。

残念なことにアスペルガーの医師というのは意外と沢山いて、人の心の襞が読めないとか言う(ある方面では)知的能力の高いは人物は特段驚くような事ではありません。学校で数学や物理が出来たから、勉強が出来たから人とのコミュニケーションが上手等というのは全くの幻想で、試験の成績が良いだけのトラブル・メーカーはどこの大学のどこの医局にも居ると考えたほうが良いでしょう。

例えば院内の医師の50人に1人、そんな人がいれば今の時代の病院の口コミサイトはボロボロ。やばい人を雇い続けるリスクに対する病院責任者の問題になってしまいます。結果として裁判、裁判、裁判。訴訟の対象になりやすい医師は最終的にはどこかの吹き溜まりに流れついていくものなのでしょうか。


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