2020年12月6日日曜日

子供による老親のネグレクト

本当に世の中はいろいろな精神疾患に溢れています。

その様は人の体格が色々異なるように、人の顔が其々異なるようにと言うほどの自然な差異だという気が最近しています。無論、精神科の病棟を歩き回ると認知症の人も含めてうつや統合失調、薬物・アルコール依存、双極性障害などを始めとする本当に驚くほどのバリエーションに富んだ「異常」というものを目の前で観察することが出来ます。

しかし、先ず以てわからないのは「異常」と言われて入院治療を受けている人間の異常とは一体何なのかということなんですけど、例えば統計学的にある能力や指標を設定して母集団の95%に入らない上と下の端っことか、97.5%に入らなかった切れ端である上下1.25%とか?以上に高いXX能力とか異常に低いXX力等と云う感じでこの様な人達を「普通でない人達」という感じで遠ざける人も多いとは思いますが、凡夫に入らない上の端っこだろうと下の端っこだろうと、こういう人達は一生において平均と異なることで特異な生活を送りつつも(多くはトラブルに満ちた人生でしょうが・・・)人類の遺伝子に種々のチャレンジングな変異を持ち込み続ける可能性を持った人々だと私は内心考えています。

さて、その様な人の中の1人にあたる「自分の子供」によって人生を終わらせてしまいそうになったおばあさんを診察することになりました。

この娘さんは統合失調症の一症状として「被毒妄想」というものをもっておりまして、それを老いたお母さんにも押し付けることで、一緒に御飯を食べない日々というのが長期化した結果、遂にはふたりとも餓死寸前という状況でレスキューされ、娘さんは精神科病棟へお母さんは私の内科病棟へとやってきたのですが、老いたお母さんの方は最初はもう驚くほどのガリガリで、体のあちこちに褥瘡をつくって入院してこられました。

お母さんはもう最後の方では生きる気力も無くなり一緒に死んでいもいいという状態だったらしいんですけど、統合失調を発症した娘とともに家の中で亡くなる既(すんで)のところで助かり、かつ娘さんも薬を服用して本当に話のわかる礼儀正しい「普通の人」に戻ってしまいました。

現時点では取り敢えずはメデタシメデタシなのですが、今後とも症状の再発も含め、問題が起きないとは限りませんので、ソーシャル・ワーカーや訪問看護師さん達の協力も得てこの人達の人生を安全なものにしていかなければなりません。しかし、不幸にしてそういったサーチ&レスキューが効かなかったケースも全国には無数にあるはずで、こういう時代だからこそ、老々介護を含め、8050問題等のケースも「システマティックに」一見ドライに見えるほどしっかりと行政の手で家族の観察を継続し、その様なインシデントの発生による悲劇の連鎖を止めていかなければならないと思いますね。

しかしそれを達成するためにはお金と人と知恵が必要。AIの力を使って、家族の加齢と構成の変化を戸籍などから推定し、保険支払いの経過データをそれに被せて見ながら、リスクの高まっている家族に積極的にアクセスすることも直ぐにでも考えていく必要があるのではないでしょうか。


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