2020年12月16日水曜日

老いた親との同居とか・・・

今日患者さんの娘さんが遠方の地からやってきて、私と面談をしました。

実は彼女のお母さんは私の管理している病棟に既に一年半も入院している患者さんなんですが、普通こんなに長期にわたって入院させることはないのですが、循環器の先生が特別に彼女の病状に関して関心があり、これほどの特別な長期になっています。

まあ、それは良いとして今回彼女が久しぶりに病院に来てくれたことで現時点での御母堂に関する種々の状況説明を行うことが出来てよかったのですが、家族関係に関して連絡が取れないごく近所に住まわれている「ハズ」のお兄さん方が何故お見舞い、というか説明を受けに来れないのかをそれとなく伺ってみたところ、本当に正直にそのお母さんが発火点となって上の兄弟お二人の御家族が崩壊してしまったというお話を切々と話してくださいました。

切っ掛けは御母堂の配偶者がお亡くなりになったことで、家に引き取って同居を始めたことだったようです。最初は良かったらしいのですが直ぐにありとあらゆることで衝突をしはじめ、後は崩壊というのを長男だけでなく次男の家庭でも同じことをしてくれたみたいで、近所に住んでいながら決してお母さんには近付かないし連絡も取らないとのこと。

娘さんによれば「外面だけは良い」のだそうです。このおばあさん、病棟では言動丁寧で仕事も沢山手伝ってくださる愛されキャラなのですが・・・家族にとっては悪夢のような存在のようです。

娘さんは病棟の面談室を去る時に私に「私がこうやって母のことで面倒を見るのは別に立派なことをしたいとか感謝からではなくて、こうしないといけないだろうなという世間に対する義務感のようなものです。」と言われました。

日本の病院に帰ってはや6年。家族関係というのは外からは見えないほど異様に複雑なことが沢山あるという事は学びましたが、一見すると素敵なお婆さんと笑顔を絶やさず直ぐに遠方からやって来てくださる娘さんの間にこんな複雑な捻れがあったことに改めて驚いた次第です。

老いた両親を自分の家庭に導き入れることには「同居実験」と言うにはあまりにもリスクの高い何かが潜んでいる可能性も決して忘れてはならないということでしょうか。それぞれの人物は社会においては良い人であっても混ぜるな危険とでも言うべき親子関係も世の中には多いようです。


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