毎年毎年、国を問わず施設を問わず報告される虐待のケース。
虐待を行う側も行われる側も実に多種多様なコンビネーションなのですが、そのほとんどは、「ケアをする側」の圧倒的な力と「ケアをされる側」の圧倒的な力の無さ。ケアをされる側の実例としては孤児、DV避難者、老人、精神障害者、身体障害者等挙げだしたらキリがありません。
いかなる組織においても今の時代は上と下の序列関係に関してはその位置関係がパワーや性別その他の要素によるハラスメントを受けないように法の力や倫理の力がそういった「支配・被支配」になりがちな関係を一方的なものにしない様に力の均衡を保たせようとしています。しかし、それはそういう行為を受けた時に「訴える力」があればこそ。
残念ながら上に上げた多くの施設においてはそのようなシステムは成り立っておらず、中に陰湿な人間、異常な人間などが居れば必然的に性的虐待、心理的虐待、肉体的虐待などを始めとして自殺他殺を始めとした「死」に至るまでの加虐が発生することになります。
こういう人間は「普通の顔」をして諸施設に紛れ込んでいますのでなかなか摘発が難しい。しかも、残念ながらその施設の長やセクションの長がそういった行為に鈍感であったり、見て見ぬ振りをしているようなことも多々見られますので、防止は第三者などによる客観的な査察と抜き打ちの調査などが入らないと、正直とてもじゃないけれど防げないと考えます。
残念ながら、実際に私も一度私の勤める病院で(後で統合失調と判明したのですが)あるヘルパーが他の入浴時の老人達に対して暴言を吐いていたのを「たまたま」聞いたのをきっかけに、その暴言を吐いていた人間をその場で直ちに厳しく叱責、職務からその日のうちに仕事に就かないように師長に連絡するとともに、その脇で彼の暴言をそのまま聞き流していたヘルパー2人も厳しく叱責し虐待に関するセミナーを開き強制的に参加させました。結局その日を境に暴言を吐いていたヘルパーは病院に来なくなり、程なくして病院を辞めたという風の噂を聞きました。
暫くの間、私の存在自身がヘルパーさん達には恐怖の対象のようになっていたようで、私が各病棟に入って来る度にヘルパーさんの視線が集まるのを感じました。そもそも後ろ暗いことをしてさえいなければ、私の存在など気にすることもないのですけど?
話す力のない人、抵抗する力のない人を一方的に虐待するなどそもそも重大な犯罪ですが、こういった人間を入職の段階で判別することは一部を除けば極めて難しい。どこも人手は足りませんので、入職を許可する側の人間の選別眼という「知性や経験」を要する部分が低ければ選別はザルのようになるわけです。
しかも、前職でこの手の行為で馘首になった人間が次の同じ様な施設にやってくる確率は大変高いわけで、そういった事を繰り返すうちにそのエリアに居られなくなっても他の地域に行ってまた同じ様な事を繰り返しますから質が悪い。
私はこういったことの原因の一つは日本における「紹介状システム」の欠如だと強く思います。アメリカでは次のジョブを得るためにこの「紹介状・推薦状」というものが無ければ「あるレベル以上の仕事」を求めるジョブ・ハンティングまともには前に進まないのが普通。
無論、推薦状等を書く側も重大な責任を負います。こういった紹介状を書く人というのは多くの人の同様の書類を書く機会が必然的に多いので、書く側の信用問題にもなりますから。
クズの排除システム。何とかしないといけないこれからのさらなる人口減少を迎える日本の喫緊の課題だと思います。多くの人間は必要なのに、只でさえ少ない人間から「クズを弾いてかつ必要な人材を満たす」ことの難しさ。想像してみてください。
0 件のコメント:
コメントを投稿