2020年10月11日日曜日

893も大物はやっぱり頭が切れる

入院患者さん達の中には当然「その筋」の方々もたくさんおります。

ところが入院患者になってしまうと多くの人は一見して「萎んでしまったような」人達が殆んどですね。確かに威勢の良い「墨」が若かりし頃の勢いと切った張ったの渡世の感じを醸し出してはいるんですが、齢も75位を超えてくるとその体に彫り込まれた柄にもシワが入ってきて逆にみっともなくなってきます。

私はこっそりこの手の墨が沢山体に入った渡世人達を「アニメ好き」と呼んでいるんですが、だいたいこの手の彫り物は赤・黒・緑・黄・青で全て構成されている感じです。みっともないのは筋までは入っていて色が部分的にしか入っていない人達。金が無かったのか、根性が無かったのか、はたまた中途半端な輩だったのか。

明らかに手前で彫ったんだろうなと思える彫り物も多くて、その中でも自分の女の名前が多い印象。あとは星型や文言の彫込み、残りはクスリやってて絵かきをやったんじゃないんかい?というような全く意味不明の「やっちまったな~」系の落書きですかね。

アルコールで肝臓が萎んじゃってる人、クスリで脳味噌が萎んじゃってる人、若い頃のクスリの回し打ちや入れ墨関連と思われる感染でC型肝炎になってしまって肝障害や肝臓癌になってしまっている人など、沢山この手の人達の最後の瞬間を見送らせていただきましたが、中には指もきちんと10本あって、墨など体のどこにも入っていなくて、人柄もにこやかで、役所の人からの案内で「その筋の大物」との前説がなければ決して893とは思えない一見すると好人物の人がいるのです。

ところが、この手の人の中には然りげ無く「超高級な時計」とかを持っていたりする人もいて、やっぱりなんか金回りが違うんだろうなと思える瞬間があります。全部で10回くらい懲役打って、今度出てくる前には4年食らっていて・・・何ていう話を楽しそうにしたりするので、私のように「いろんな違う世界」の話を聞きたい人にとってはこの手の世界の人達の話は時間つぶしには最適です。w

実は同じ病棟に対立する組の人間同士が入っていたり何ていうのも「意外と」多いのですが、一方が既にそういう世界を過去に捨てているような場合にはこれまた「意外にも」病棟内では摩擦というようなものは殆ど起こりません。何にしろ病棟で一番強いのは医師。万一の場合には「出ていってください」の一言で終了ですし、更に問題起こすようだと直ぐにXX署から大挙してデッカイ警察官たちがやってきてこれまた終了です。

とはいえ、上に書いたような幹部クラスの入院患者になると揉め事を起こすことはほぼ絶無と言って良いレベルでして、やはり人の頭につくような人間というのはどの世界でも脳味噌の中身が良質のようで、話をしていてもポイントを良く理解して話をするし、人を話の中に持ち込むのが上手です。まあ、こうやって人をたらし込んでいくんでしょうが・・・。

今の時代、金を稼ぐのが上手い人間があちらの業界ではトップになるのでしょうが、そのトップになるための稼ぎ方が常に法に触れるものなんでしょうな。そこの中身は相手が語らない限り聞きませんが・・・。

その脳味噌を学問に向けてたら別の世界が広がっていたのでは無いかと思うとちょい勿体ない気も致します。


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