2020年10月26日月曜日

この母にしてこの子あり・アルコール依存症

精神科で「共依存」なんていう言葉を頻繁に聞きますが、結構とんでもないことが多いです。

私自身は精神科の専門医でも何でもありませんから、周りの専門医の先生達がいろいろな症例に関して話しているのを聞く機会が多いだけなのですが、それでも病院内で症例が語られるときに「共依存」という言葉が出てくるような話に関しては余り良い物語は私の記憶に蘇ってきません。

今回の話では実は私が消化器疾患を担当している患者さんのソーシャル・ワーカーから聞いた話なのですが、医師である私に隠している隠された重大なストーリーとしてその患者の実の母親の存在があるというものでした。母親は80前後なのだそうですが、息子の疾患はアルコール依存症。そしてこの患者にも精神科医は付いていて、医師から治療を受けているというのです。

この男性患者自身はこれまたアル中に良くある大法螺ふきででして、外来にも酒の臭いを振りまきながら入ってきます。私はこの手の患者には今まで軽々と裏切られ続けた経験から常に冷淡に取り扱うのですが、この患者ふざけた事に「そんな厳しいことを言ってくれる先生が大好きです」等との賜ります。

まあ、それはそれでどうでもいいんですが、私が今回「ウッ」と思ったのはこの男性の酒の入手先。なんと老いた母親が自分のアル中の息子のために酒を買い置きして家に置いておいてくれるんだそうです。orz

正直その話を付き添いのソーシャル・ワーカーから聞いたときには開いた口が塞がりませんでしたが、彼の説明ではこの駄目親子、上に書いたような共依存状態なんだそうで、調べてみると「親が子の行動を支配し子の自立を妨げてしまうこと。共依存の親は、子に親がいないと何もできないと思わせたり、逆に子がいないと親が困ると思わせたりして、子をそばに置いておきたがります。引きこもりの子を甘やかす親や、逆に子が自立しようとすると病気になる親などその症状は様々。」

まあ、上に書いたのは総論的なことなのでしょうが、このアル中の50過ぎの息子も結局はそうやって育てられたのかそれとも親をそう思わせるような騙し方をしているのか・・・。何れにしても碌なもんじゃありません。

ワーカーさんは、現状を打破する為に「お母さんを別個につれてきて先生にに話をしてもらいたい」と頼み込んでこられるのですが、正直言ってそんな親御さんを内科医の所に連れて来られてもね~というのが私の実感。まあ、勿論連れてこられたら話は致しますが、その話は極めて厳しいものになるだろうと推測されます。

この母(親)にしてこの子あり。この世の多くの場合に当てはまる、短いけど確かな先人の言葉だと思います。


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