邦題「チョコレート・ドーナツ」原題「Any day now 」という2012年のアメリカ映画を観ました。
アマゾンにあるかなと思って探してみたらしっかりありましたので、喜んでボタンをクリック。すぐに見始めました。登場人物の軸は基本的に三人。ルディ、ポール、マルコ。
舞台は70年代後半のCAという設定ですが、ルディというゲイの歌い手がいるバーにゲイであることを隠しながら生きる弁護士のポールがやってきて互いに一目惚れ。二人は相思相愛となるのですが、それだけならただの恋バナ。ところが、ここにダウン症の少年マルコと言う男の子が絡んできます。大好きなバービー風の人形をいつも大事に抱えている彼の母親はジャンキー。息子の前でコレまたヤク中の男とセックスをしてしまうような典型的なぶっ壊れた女。
このマルコをふとしたきっかけから救うことになった隣人のルディとそのゲイ・パートナーであるポールの法に基づいた「マルコを救い出すため」の激烈な戦いを描いています。あんまり書き込んでもネタバレになりますので、例のごとく詳細は実際に映画を観て頂いてご自身の感想を持っていただきたいというのが本音なのですが、当時のアメリカでは既に比較的LGBTにはオープンであったと思われるCAでさえも、実際にはこの様な「世間一般のゲイに対する強い偏見」があったことを想起させます。いわゆる「福音派的クリスチャンの持つべき伝統的発想」に基づいた正義というやつでしょうか。
衝撃的なのは、これらの偏見に基づいた「法と正義の番人達」よって引き裂かれたマルコが迎えた悲劇的な最後に関して淡々と、本当に淡々と綴った短い手紙が送りつけられた当該裁判の判事、ポールを馘首した上司、そしてマルコを何度もゲイの二人から引き剥がした家庭局のオッサン達がその文章を読んだ時の強い戸惑いの表情はその後の時代の変容を予感させるものだと思いました。
ウッと息がつまり涙をポロッと流した素晴らしい映画でした。観てよかった。差別や偏見というものの愚かしさを再び強く認識させられる映画でした。
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