ある大学のある先生から愕然とするような話を聞きました。
それに関連したような事態、類似案件が全国で進行していることをネットにある医師限定の情報掲示板で読み知ってはいたのですが、まさかここまで身近な人の口からそういった事実が語られるとは思ってもいませんでした。しかし、事実としては実際にそういった事が裁判の案件になっているのだという事を知って日本の医療も終わりだなと思った次第です。
まさにアメリカ化しているなと思ったのは、ある難しい小児先天性奇形に起因するオペに関すること。国内のあちこちの有名大学が断って、最後にその大学の先生が家族に懇願されて「可愛そうだから我々で受けてやれるだけの事をやってあげよう」となったらしいのですが、オペはやはり予想された最善の結果は産まなかったとの事。この先生御自身はオペのテクニックも高く、医師としても立派な方らしいのですが、このオペを頼んだ家族は・・・結局この先生に数億円の賠償をリクエストしてきたとのこと。
私が思ったのは「世も末」という一言でした。医師の善意は見事に踏みにじられ、彼のこれからのオペの選択や未来全体にも大きな影を落としたことでしょう。何よりも恐ろしいと言うかやるせないのは、確実にこういった案件が日本の医療全体にドデカイ暗い影を投げかけるということです。
難易度の高い非常に高度なスキルを要するオペ、頑張ってもとても成功率の低いオペ何ていうのは幾らでもあります。しかし、そこを理解した上で長い訓練の末に高度なスキルを獲得した先生が、優秀なチームサポートを受けて気合を入れてやったオペであっても、やはり「理想の最終形」を得ないことなど正直なんぼでも有るでしょう。一昨年ほど前にニュースになった某大学の暴走外科医のようなのを、今回のような例にまで裁判官や警官が同例として敷衍するのは正直メチャクチャ無理がありますが、それを実際に責める輩がいるのです。
そのうち、難しいオペっていうのは事前に言い訳説明書・同意書が100ページくらいの厚さになって、盲腸のオペでも30ページくらいの言い訳説明書がごく普通になる時代が来るんじゃないでしょうか?(もう一部の医療機関ではなっているのかも?)
そして、多くの高度医療機関でも訴訟を恐れてそもそもそういったオペを受けなくなるのかも知れません。それでなくとも「質の悪い患者(世の中には想像を絶するトンデモ患者とその親族は多数おります。w)」は現在秘密裏にブラックリスト化している病院も多いというのに、その人達を含めたたらい回しが激増したりするような事が更に急速に増えるのではないでしょうか。
そして、その割りを食うのは普通の患者さん達。あの悪名高い「大野産科医逮捕事件」以来、日本の産科と小児科医療が退縮方向へ激変してしまったような事が全科で起きませんように願うのみです。
何度も書きますが、医者は神ではないのです。あくまで善意でベスト・エフォートを患者に施すハイレベルの技術者なのです。どっかのテレビドラマで「私、失敗しませんから」とか言うセリフを吐く医師の設定がありましたが、あれは詐欺師でなければ妄想性障害の患者さんです。w
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