私からすると、ただ困った患者さんなんですがその心根を考えると憎めない。しかし、インタビューをした御兄弟に言わせると「単なる学歴コンプレックスの塊で、誰からも愛されない偏屈者。大学の非常勤講師に一度ついただけの非正規就業者」等との酷い解説。w
まあ、兄弟からの言われようはこのように結構切り捨て調なのですが、この患者さんの様子を見ていると先ず根底にあるのが昭和のクソ親父にありがちな女性蔑視。そして次にあるのはレ当館の裏返しのような偏差値信仰。そして固くぶつかってくるものには激しく反発するということでしょうか。
ですから「男性・医師・主治医ではないので特に患者さんの言動を責めることもない私」に対してはそれなりに言葉の遣り取りをしてくれますが、主治医である精神科の女医さんにはもう滅茶苦茶な暴言。実際は地方のホテルなどで問題を起こしたりして警察や病院のご厄介になっておられるとの事なんですが、なんかテレビを一時賑わしたアノ「マスク男」ってこんな感じなんだろうなと思ってしまいます。
一方的に自分の考えを滔々と述べて異論は挟ませず、討論をする時に理屈の上で追い込まれると感情的になって「屁」理屈で粘るということの繰り返し。結局は周囲の誰からも愛されず増々孤立していくという悪循環。
他の大きな病院でもかなり手を焼いたようで、看護記録や医師からの診療情報提供書には服薬拒否や入浴拒否、摂食拒否などの種々の抵抗の末に身体が衰えてしまいADLも低下し続けてきたことが記録されていましたが、何と戦っているのかよく見えません。あえて言えばそもそもが存在しないプライドの保持に戦っているような?
この方もう70代なのですが、名古屋大学のXX先生とか偏差値がYYとか受験生のようなことを縷々言われるのですが、相手しているこちらは「ふーん」と言う感じ。何だか見ていて可愛そうというか愛おしくなってしまいます。偏差値教育の「被害者」なんだろうな~と感じるんですが、この爺さんの心をも溶かす相手が出てきました!
それは入職してまだ半年の私からすれば娘の世代、爺さんからすると孫の世代に当たる初々しい女性看護師です。
本当に淡々と、しかし誠心誠意対応するこの女の子には爺さんも「何故か」心を開くようで、最初はツンデレ風だった応対も次第に和らいで、固まった体も拭かせてくれて、眼脂も拭き取らせてくれて、飲み物や食べ物は勿論のこと服薬までも再開してくれるという劇的な変化を起こしました。この女の子の前では変な屁理屈も弄しません。w
偏屈爺さんのカチカチの心を氷の中から救い出したのは北風ではなく太陽だったのでした。
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