今回、財務省の諮問機関である財政制度等審議会の分科会で診療所(ベッド数が20床未満)がサービスの対価として受ける診療報酬が「極めて良好な経営状況を踏まえ(医師らの人件費にあたる)報酬本体をマイナス改定にすることが適当」と提言していますが、ビックリするの今回のデータ・ベースがコロナ前の医療収入と、補助金によってグワッと底上げされた医療収入とを比較して12%の伸びを示した一方で、医薬品や機器貸借料などの費用の伸びは6.5%だったので、その余剰金がある分をマイナス改定に持ち込むという乱暴な議論。
まあ、何とも官僚らしいインチキ満艦飾の強引な数字付けです。まさに恣意的統計解析というやつで、数字に弱い、官僚の意見に何の見識も持てない増税眼鏡オジサンらしい押されっ放しの発表となっています。
こういう特異な時期の特異な数字の変化を以てこれからの日本の医療費の大幅削減を求めていくのであれば、当然医療の質自体は「自然にかつ絶対的に」下げざるを得ないでしょう。
国民皆保険というシステムの中で日本人は恐ろしい程の高度な医療を実に安価に手軽にうけていますが、海外で日本の現在の医療水準と同じレベルのサービスを提供されるにはどれ程の金を使わなければいけないか日本人は全く解っていないと思います。まあ、共産主義的な民主主義国家である日本では金持ちは国家の中に存在を許さない方向で一致団結していますので、医者程度が金を持っている側の「代表」にされて叩かれるという構図が過去からずっと続いています。
これから多くの診療所は今よりも速いペースで潰れていき、淘汰どころか必要な分量の診療所も維持されず、多くの患者は不便を強いられながらも長い待ち時間の果てに大規模病院で短時間診療でまわされるというイギリス型の公的医療制度へと順応させられることとなるでしょう。
そしてその時になって初めて「良質な医療には金がかかる」という単純な事実を確認し、過去のサービスが如何に医療従事者側の犠牲の上に成り立っていたのかという事実に思いを馳せることになる事でしょう。
私、ずっと思っているんですけど、こういった暗い近未来の予測を知ったうえで高校の進路指導の教師達は教え子を医学部に送っているのだろうか?と勘繰ってしまうんです。w
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