2023年11月2日木曜日

女性に多い訴えへの対処

女性の体調不良の訴えは内科外来では頻繁に出てくるトピックスの一つです。今日もそのよな訴えへの対応が多い日でした。

彼女たちの訴えの中身を詳細に伺う過程で実際には自身の生活のプライベートに関する問題が聞かれることが多々あります。身体症状としては耳鳴り、頭痛、吐き気、ふらつき、肩こり、ホットフラッシュなども含めた不定愁訴とも言えるような外来での訴えはごく日常的なもの。

これらの問題は慎重に判断していかないと、心的要因で発生している等という言葉で一括りに処断するのは完全な間違いで、実際にその症状のバックグラウンドでは明確に診断のつく種々の重大な疾病が隠れていることも本当にたくさんあるからです。

例えばふらつき、めまいなどの訴えの外来患者のデータを見ていくと高血圧や鉄欠乏性貧血が隠れていることは良くあることで、これは鉄補充で劇的に改善されていきます。肩こりの原因には腱板断裂も数多いことに驚きます。また、内臓疾患からくる連関痛も良くあることで、婦人科領域の子宮筋腫や子宮頸癌、卵巣癌等も稀ならず発見され婦人科等との連携も重要です。

女性の付属臓器の腫瘍や子宮内膜症の検索なんて言うのは想像とは真逆で、臓器自体の構造も複雑で、診断も全く易しいものではありません。大切なのは疑わしいと思われた場合には迷わず適切に婦人科に紹介を行うことで、あれこれ悩まず、自分で抱え込まず患者さんの万一を考えて「餅は餅屋」に任せています。

しかし、そういった画像やバイタルから検査可能なものだけでなく心のストレスから来る症状が多彩なのも女性には多いと感じます。男性でも抑うつ症状の手前などで何らかの身体症状がサインとして出てくることも多々ありますが、女性はそれ以上にサインが頻回かつ多彩な印象があります。

こういう時は問診で話を詳細に聞くことが大事で、その裏側には介護での疲れ、家庭での子供や家族間での悩み、職場での過重な仕事や対人関係に絡んだ軋轢等が多彩な心因性の症状の発端になっていることも多く、それらには漢方がよく効くことがあります。しかもびっくりするほど。

ただ、こういった漢方処方は我々は大学の薬理学で学んできておりませんので、どちらかと言うと独学や漢方を得意とする先生からの「お知恵拝借」が多いのが正直なところで、東洋で長年に亘って積み上げられてきた経験値がナチュラル・アルカロイド等の力を借りて心や体の複雑な問題をマイルドに解決するのをみると、最初は怪しんでいた漢方の効能も効く時は効くな!と納得すること頻りです。

男性とはちょっとスペクトルの違う女性特有の悩み。医師にとっては常に奥の深いテーマです。


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