認知症をどう定義するのかによってその「幅」も変わってくるでしょうが、どの職場においても通常は定年というシステムを以てその認知機能障害の方が職場で業務を混乱させる可能性というリスクを大きく低減させるのですが、医療業務の世界ではなかなかその可能性が低減されないという場面も出て来がちなのです。
会社の創業者や、会社の重役がいつまでも業務に関与し、下の人間がその人間の意見を変えられない時に「もし」その人達に認知症の症状が出ていたら…、という仮想の話なんですが、実際はこの話は意外と普遍的に起きている話で、定年の無い会長職クラスの人物などが大きな会社を傾かせたり潰す状態にまで至らせた話というのは枚挙に暇がないのです。
医学界においては古い話ですが、ドイツの外科の大教授が認知症になって手を消毒しないまま何度も手術を行い大量の患者を殺してしまうという事件が起きていますが、これなどは下の人間が教授の権威の前に「判ってはいても誰も何も言い出せない」という竦み上がった状態で被害が拡大していった一例ですが、実際はこれで終わりではありません。
やはり、こういうインシデントを知ってしまうと定年制というのはある意味disasterの発生においてある程度のブレーキの役割を果たしているのは間違いありません。
病院においてもリスクは必ず存在しています。国公立大学や国公立系の病院であればある程度は定年によるセーフティ・システムが医師にも看護師にも網のように被さってきますので、病を得る前に人のほうがシステムから切り離される可能性のほうが遥かに高くなる訳です。ところが、これが私立系の病院になると年齢制限のタガがかなり緩くなるところが増えてきます。
すると、、、びっくりするような高齢の看護師や医師が現役で仕事を続けているというような場合も有り得るし、実際にも私の周囲にはあります。そして残念ながら恐らくは既に現場の人間としては既に耐用期間を過ぎてしまっている状態の方々が散見されることがあるのです。やはり人間は己の引き際というものを自覚できる間に仕事を辞めるという事が出来なければ己が知らないだけで恥をかくことになるだけでなく、患者さんを大変な目に遭わせることになるのが医療従事者の特に恐ろしいところです。
そして、このような方々に限って自覚が無い、そして自覚がある人にそれらの事を暗に指摘するだけで逆切れする事も現場では多々起きているので、問題は厄介この上ないのです。orz
一部の現場はそれらの人々の存在によって大きく疲弊しているのですが、その人々をシステムから切り離すのはこれまた大変。認知機能検査などをやろうとしたら人権侵害などといわれて訴えられて終わりでしょう。
さて、我々はこれからの長寿時代をどうやってシステムを安定化させつつ仕事をしていかなければならないのでしょうか。難しい時代です。
2 件のコメント:
私のかかりつけ医も高齢でコロナワクチンの接種の時に貼る絆創膏を、先に剥がしてご自身の手に貼ってから接種後、貼ってくれるのが
違和感があったので若先生に変えてもらったのですが、これってどうなんでしょうか?
開業医だと定年がないのでちょっと恐いですね。
ちいままさん、
実は開業医にはビックリするような御歳の先生が結構居られて、御近所のお年寄りの「指定の」先生として残っている場合が多いのです。若先生(<医師になった息子さんや娘さん)じゃなくてお父様が良いというような感覚で…。w
さて、お話の件ですが絆創膏の接触面が他人の肌に触れる等というのはあってはならない事だと思います。そこは衛生観念の一丁目。若先生にして頂いたのは正解でしょう。
歯科の先生でもある年齢以上の先生は感覚が鈍るとか言ってラテックスの手袋を嵌めないで作業をされる先生がおられますが、私はそのような歯科には二度と行きません。
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