2022年3月1日火曜日

国籍の無い人の悲惨

国籍の無い人が日本においてはどれほど告白な扱いを受けるかという事を今回目の当たりにしました。

もともと病院では「ごくまれ」ではあるものの、無戸籍者という人々は入院することがあります。多くの場合は生活保護を受けているような患者さんの中にそのような方が発生していることがあります。どういう状況で発生するかと言うと、親兄弟や親族と連絡を断った後に長い年月が経った後で、親が亡くなった時などに遺産の相続を行う段階で「連絡が全く無くなってもうXX経過した」と言う感じで官報に告知したりするとかそういう何らかの正式な法的手続きをとることで、死亡宣告をした感じになって最終的には生きていようがいまいが「その人」無しでいろいろな遺産相続手続きやお墓の制作、年金などの手続き停止など諸々のことが動き出すようです。

しかし、ご想像の如く亡くなったとされた御本尊は連絡を絶ってホームレスなどをしている事も実際には多々あって、病を得て病院に担ぎ込まれたときに名前や住所、出身地などを告げることで役所はアッという間に本人の同定を終えますので、その段階で「アレ、この人亡くなった事になってるやん!」と言う事例が出てくるわけです。しかし、こういった時には本人であると確認できれば裁判所経由で戸籍回復が粛々と進みます。

更には似ているようでそうでない例として「国籍が無い=無国籍者」という例も稀ではあって、そういう人が病院に一時預り状態で役所依頼で入ってくることも有るわけです。そういった事例の発生要因としては親が不法滞在で日本に長期滞在し子供を産んで役所に届けることができない状況でそのまま子供は教育も受けず、医療その他の重大な公的サービスも受けられず、ずっと放置されて気がついたら成人として何者でもない自分が日本という国の中でもがき苦しむ状態になっているというものです。

ドキュメンタリー、ノンフィクション、そして私の目の前でも実際に若い子でそのような事が「本当に有る!」という実感を得ることができましたが、本当に社会にとっては透明な存在なんですよね。

役所にとっては迷惑と思う担当者も居るようです。その理由は色々あるようなのですが、日本を目指して入ってくる人間が日本国籍を得ることで良からぬことをするのではないかとかいうシンプルな疑いパターンから、もともと若い頃から犯歴等が積み重なっていて、それを戸籍クレンジングする感じでチャレンジしているんんじゃないかと疑うものもあるようです。

そこには実際の話、警察が登場して最初から疑う感じで詰問調に若い子を攻め立てて取り調べ風に何時間も役所の人間と一緒に身元を調べ上げるなんて言うことも実際には有るようです。何れにしても、無戸籍以上に無国籍の闇は深くて、無国籍の人間が一人出来上がるまでには、本当にいろいろな語られぬ物語があり、単純とは完全に対極の広くて暗めの世界が広がっています。

それにしても、今回経験したインシデントでは日本という国はコレほどまでに国籍のない人に対しては冷たいんだな~って言うことを知りました。逆に言うと、日本という世界最強のパスポートを持つ国に生まれ、手厚い行政の保護を受けることが出来るのは我々が「日本人」だからなのだというシンプルなuntold realityを再度自覚し感謝するのでした。

無国籍で日本に住む人々の国籍取得への道のりは茨が敷き詰められています。


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