私が学生だった頃の常識は今の時代の非常識なんていうのはそれこそ枚挙に暇もない程で、医療技術はもちろん看護技術などの常識も年々歳々変わり続けた結果、卒後35年の間に病院の中で行われる治療の多くが全くの様変わり状態です。
私はいま内科医ですが、同じ病院の中で行われている精神科領域の治療もものすごい進歩を遂げていて「昔の診断で昔の治療薬で治療された患者さん」と「同じように見える疾患でも今の薬で加療された今の患者さん」では社会復帰のレベルが全く違います。
30年前だったら「これは難しいか」と思われたような激しい症状を見せる精神疾患の患者さんも、正しい診断と正しい加療さえ行われれば、昔以上に素晴らしくちゃんとした治療結果を見せる時代となってきました。
いわゆる昔の向精神薬等で治療されてひどい錐体外路症状で廃人のようになってしまっている人が大勢居て、その患者さん達が長期入院という時代が長く続いてきました。ところが、最近は長期的なトレンドとしてそのような副作用で仕上げられたような患者さんは幸いなことに本当に減ってきて、良い感じで社会復帰が出来るようになってきてるのです。
内科医の私から見ると精神疾患であっても、何らかの分子の問題があってその異常なシグナルの部分に対する精巧な拮抗薬や刺激薬等を使うことで症状の改善を目指すことが出来るはずと考えるわけですが、製薬会社が投じた巨額の資金と世界中の研究者達の必死の研究の結果が時代を動かしました。
その結果が実際に日本の多くの病院で結果を見せ始めています。
厚労省の方針として精神科の患者さんの入院の長期化を少しでも減らしたいという明確な方向性があるため、保険点数上も入院制度上も長期入院を厳しく厳しく減らす方向に向かっている上に、上に書いたように治療薬の質も大幅に改善していることもあって入院患者さん、特に長期の入院患者さんは劇的に減っていくことでしょう。これはいろいろな意味で大変に良いことで、困るのは空き病床の出来る精神科病棟のみという状況。
長期の入院は今でも一部残る種々の治療を試してもなかなか治らない難治性の方だけという時代がやってきています。これから2040年代くらいまでは激増していく認知症の患者さんの入った病棟に置き換えられていく事は必然でしょうね。
毎年縮小していく日本の人口の動態の一部が精神科の病棟の現実にも大きく反映されていく時代が実際に目の前で起きている日々です。
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