2021年5月11日火曜日

クラスタ発生

遂に勤務先の病院のある病棟で新型コロナのクラスタが発生しました。

一年前から構えに構え、周囲の大規模病院でも頻繁にクラスタが発生していたのですが、勤務先では本当に今までは表立った熱発者の集族もなく、抗原スクリーニングによる新型コロナ抗原の陽性者も出てきませんでした。しつこい位に外来、入院での検査はやっていたのですが幸いにして今までは一人も発生が確認されたことはなく、正直「運がいい」と感じていました。

しかし、四度目の大波を被った愛知県で大規模病院である私の勤務先も遂に無事という状況とは無縁になりました。

熱発者が数人同時に出たという他のドクターの一本の電話が内科の私のところに入ったあと、まずはその熱発者たちをSARS COVID19抗原検査でスクリーニングしたのですが、サンプルを垂らした所、10秒もかからずターゲット・バンドが真っ赤に出現。今までは15分経過後にうっすらとバンドが出て、PCRで確認した後に陰性と再度確認というのならあったのですが、この大量の抗原の存在を示唆するようなあっという間のバンド出現は十分に私自身の気持ちを奮い立たせるに十分でした。

非熱発者であっても同室者を直ちにスクリーニングにかけたところ、やはりかなりの確率で陽性。判ってはいたものの、心のなかでは思わず舌打ちしてしまいました。この時点で次はもう全数検査です。この病棟に出入りしていた全員、医師、看護師、ヘルパーさんも含めて懸念のある人間を全員呼び出しも含めてスクリーニング。

幸いにして、この時点では医療従事者側は誰ひとりとして陽性者はなし。ただし患者さんはそれなりの数が出てクラスタ発生の可能性がありましたので保健所に連絡を入れPCR検査も施行して抗原検査とのマッチングを行いました。

患者さんに対しても、以前から周到に準備されていた「万一の際のプロトコル」を発動させ淡々と仕事をしました。終わったのは夜の11時半過ぎ。他の病棟も熱発者は全数検査して陰性。

実はこの時の記述が数日前のブログ「やれやれの一日」の出来事だったのです。何のことなのかその時点では解らなかった方もおられたかもしれませんが、保健所での最終結果が確認されるまではそれを記述するようなことは出来ませんでしたので。

きちんとした結果が出て、標準的かつ間違いのないプロトコルが発動され、今のところは患者さん達の容態も安定していて一息ついてはいますが、もとよりこの様な事態での稼働要員として事前選抜されていた看護師の人達の協力には感謝と尊敬しかありません。

医師は勿論最前線で闘うものですが、このように自分から手を挙げて協力を申し出てくれた人達には若くかつ意欲のある人達の大量の存在が我々年長者をして感心させられたことはここにしっかりと記述しておくべきだと思いました。

これからしっかり抑え込み、収束に向け淡々と日々を過ごしていくことになるのでしょう。日々戦いです。


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