2021年5月27日木曜日

遂に病棟のコロナが収束する方向へ

病棟で確認された新型コロナの患者さん達の治療が開始されてから3週間が経過しました。

当初は落ち着いてくれるかと考えていた患者さん達も他のドクター達のケース・リポートの様に10日ほど経過した時点で、高齢者かつ基礎疾患としての呼吸器や循環器の疾患、慢性腎臓病、高度の肥満等のファクターを持った患者さんには厳しい結果となりました。

感染症学会の標準プロトコルに従った各種の治療に確かに反応はするのですが、ある分岐点から「改善」の方向に向かって最終的に症状が落ち着いてくれたのは「基礎疾患の無い方々」でした。

数十人居た抗原陽性者も遂に数人にまで減少。ウイルスの抗原としての量も現時点では10^4レベル程度にまで殆どの患者さんで落ちてきていると思われます。こうなってくると、実際に感染性という意味ではほぼ消失。残る患者さん達数人の隔離は続きますが、区の保健所長と綿密に打ち合わせを行いながら病棟としてはコロナの終息宣言を出す方向性で問題なしとなりました。

実際に病院全体としても他の病院や施設からの患者さんの受け入れを再開する日程も決まり、外来も再開されることとなりました。今回のインシデントは病院にこの様な事態への対応力が備わっていることを証明する機会を「強制的に」与えられました。

当院のような重症認知症の患者さんで新型コロナを発症した人は他の病院で本当に受け入れてもらえません。それを不当とかなんとか言うのは簡単ですが、実際の所、徘徊をされたりすると、病棟としてはウイルスをあちらこちらに撒き散らす巨大なリスクを持っていますので、善意のみでYESということが出来ないのも理解できます。

「医療資源に余裕のない時代」の現実と言うのはこういうものだと納得せざるを得ないのは少なくとも名古屋にいる現場の人間は理解しています。

全国、全世界で種々の規模の種々のレベルの「戦闘」が行われているわけですが、他の病院でも最後は直接にウイルスを叩くような(可能であれば副作用の少ない)低分子化合物の登場を以て、対症療法ではなく原因療法で患者さん達を治せる日が近づいていることを医師として祈っています。


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