2021年5月16日日曜日

やはり高齢者の新型コロナ感染症治療は難しい

やはり厳しいです。

集学的治療がルーティンとして行われ、かつ人と機器がバシッと揃っているような新型コロナ病棟に於いて患者さんを治療することが出来ない私の勤める病院の精神科病棟などでは、内科的にコンセンサスが得られている日本感染症学会の治療プロトコルを参考にレムデシビルやデカドロンなどを使用し、酸素投与を行いながら経過観察をしています。

しかし、認知機能の低下した高齢者、ヘビースモーカーであった肺気腫やCOPDを持っている患者さん達(男女を問わず)、高度な肥満や心疾患、慢性腎臓病の患者さんや糖尿病を持っている人達を中心に「厳しい状況」が出現してきました。

結局、ウイルス量が低下してき始めたあたりで目立ち始める炎症反応が体全体をボロボロにしていくような状況まで追い込んでいきます。特に呼吸器がもともとボロボロの状態である肺気腫等の患者さん達は、それこそアッと言う間にSpO2が低下していきます。半日ですーっと低下していきます。

人によってはデカドロンの使用でSpO2がスパッと戻って来られる方もおりますが、やはり喫煙歴のバック・グラウンドはその経過に大きな差をもたらしている状況です。やっぱり長い喫煙歴は死のtaggingです。それと明確なのは年齢の壁。65歳という年齢の壁が一応の指標として多くの研究でその予後を分けるものとして使われていますが、我々の病棟には70代後半より上の認知機能障害の方々が殆どですから、その予後の厳しさは想像していただけるかと思います。

だからと言って、名古屋で認知症かつ新型コロナ・ウイルス陽性の高齢者を受け容れてくれる余裕のある病院等はそもそもどこにも残っていません。ベッド自体が無いのですから。

未だにこれはただの風邪とか言っている蒙昧な輩に「わかった、じゃあお前が病棟に入って一緒に治療手伝え」と言って差し上げたいです。

新型コロナウイルスはウイルスの増殖期と症状の出現期のズレがでかい。本当に防疫という観点では防ぐ事の難しい感染症です。なんとしてでも政府はワクチンをバンバン打ち続ける体制を一秒でも早くセットアップしてもらいたいと心から思うのでした。(医療サイドがいくら頑張っても、モノの供給がなければ我々は立ち尽くすのみです。)


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