2020年4月24日金曜日

今、病院よりも大変なのは・・・

患者さん達も行動制限をされ結構フラストレーションの溜まっている人が増えてきています。

周りの看護師さんの子供さん達も聞くところではゲームの取り合いとかする上に、家でもお母さんたちの強い叱責を受けて燻ったりしているそうです。結局こういう事態というのはいろいろな所に軋みを生み出してしまうわけですが、命には代えられませんので仕方がないと言えば仕方がない。我慢のしどころです。

それでも、スーパー、公共交通機関でリスクに晒されている人達も医療機関と同様に高いリスクに晒されながら社会が可能な限り回るように必死で頑張っておられます。
しかし、今のところ私が想像する最も大変な仕事場は保健所でしょう。今現在この施設は全国で夜昼無く回転し続けているものと推察されます。

私の友人も長崎で保健所長をしているのですが、とても現況を彼に聞くようなことは出来ません。そもそもマンパワーはもとから足りていない役所。上の保健所のリンクをたどっていただければ解ると思いますが、保健所の仕事は多岐にわたり、ただでさえ大変な仕事です。

この激務の役所には昔と違って、予算やシステムの改変で医師でなくても事務職から保健所長になることが出来るように改正されましたので、医学的な実務経験が欠如していても行政上の手続きと日常業務に必要な医学の基礎知識に精通していればなれるという様になっています。

結局その馬脚は今回のような感染症の爆発などのようなインシデントの発生であらわれるわけです。手続きに詳しいからといって医学の知識の必要な現場のトップに一定の試験を通った医師以外の人物がなれるというのはまさにその人物にとっては過重な負担のはず。

ニュースで大部屋に集まって外からの電話に対応する様子が映されていましたが、まさに戦場ど真ん中の戦闘指揮所の様相でした。ここでは医療機関からの電話のみならず、一般の方などからも山のようなコールが届きその1件1件がいろいろな症状と個別の事情を訴えてきているはず。その中には絶対にいろいろな意味でとんでもない電話もあるはずで、クレーマーやボーダーまたはいたずら、ヒマ人、そして実際は家には居ること自体が既に危ないような本物の重篤者も居るのだろうと思います。

果たしてこの激務を続けている彼らに心や体が休まる時間が与えられているのか?うつ病やその他の循環器系疾患を含むいろいろな症状が出ないか。そして今回の対応長期化に伴う自殺者などが最悪の場合出てこないのか。医療機関関係者としてはICU以外で最大のストレスが掛かっていることと考えます。国は他の役所からの派遣の大幅増員やボランティによる応援も含めた緊急の対応を取るべきかと考えます。

ところで、今回の新型コロナ・ウイルスに関してアメリカのある救急対応ドクターが書いていた記事では、今回のコロナ感染肺炎の特徴の一つは肺炎が発症したりかなり重篤した状態で低酸素血症になっていても、当該患者が直前まで肺炎の自覚症状が薄いということなのだそうです。画像上は「!」という様なレベルの肺炎なのに本人は比較的苦しさを感じず、感じ始めた時にはもういきなり人工呼吸器が必要な状況になっている人がいるというもの。もう少し色々な臨床論文が出てきたら、その観察の真偽を含め更に注意すべき観察点等が教示されることでしょう。

これでは、確かに肺炎重篤化前の早い段階での治療導入が遅れ、酸素投与や人工呼吸器の使用が必要になるという症例が多いのも頷けます。日本人が発明し世界に広がった指先検出型のパルス・オキシメーターの使用が強く勧められているのが納得できました。

因みに病棟にアメリカ土産として買ってきていたもので測ってみたら取りあえずは99%でした。患者さんに迷惑をかけなくて済むように、マスクと体温計測だけで無く、明日からは酸素濃度も取り敢えずルーチンに加えようと決めました。(これはアメリカのドクターの見解を記したネットの記事由来であって、確たる科学的エビデンスは未だ確認されておりません、現時点では皆様にはお勧めいたしません。)


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