2025年4月14日月曜日

病院での患者さんの夜の過ごし方

不眠を訴える患者さん、特に高齢者の患者さん達の数の多い事多い事!

そんな患者さん達の眠りを上手にコントロールしてあげると本当に私が良い医者であるかのように褒めてくれます。実際そんな事は無いのですが。

患者さん達が入院してきてまず最初にお話しする事の中に「夜は良く眠れる人なのか否かの確認」というのがあります。家に居る頃から眠りに問題を抱えているような人というのは実際病院に入院してからは更に眠りの問題が大きくなるという一定のパターンがありますので、最初から全力で注意を払っていきます。

病院で眠りに問題があるという人の推定される原因のパターンにはいくつかあるのですが、まず最初にやって来るのが病院でする事が無さ過ぎて昼間に眠ってしまって夜は逆にギンギンというタイプ。漫画を読んだり、本を読んでくれる人達や日中に汗を掻きかきリハビリをしてくれる人達と云うのは私にとっては待った手のかからない人達で、この手の方々は夕方から消灯時間になると活動性が落ちて、スーッと寝てくれます。

それでも、次に問題となるのは前立腺肥大や過活動膀胱という疾病により尿意の出現間隔が短すぎて眠れないというもの。これにも「眠る前の数時間は水をなるべく摂らない」とか「それらの疾病への対応薬の処方」というものがあるのですが、これらの薬は効果が出るまでに非常に長い時間がかかる事が多く、残念ながら入院期間中には効果が出現しない事が先ず普通。

最後は加齢性変化による睡眠時間長の短縮化です。概ね加齢と睡眠時間の長さは逆相関するので、8時に床に就いて眠った人が夜中の一時や二時に目が覚めて後はまんじりともせず朝ごはんの登場を待つというもの。これも悲劇の一つです。

他にも上に書いたような要因が無いにもかかわらず寝入りが悪い人、寝入りは問題ないけど直ぐ起きてしまう人など「眠れない」という問題は本当に多種多様です。

眠剤を出す事は容易なのですが、それに依存させないようにする事も大切。残りの人生をそのような強い薬に依存させて過ごさせるのは医療者側の罪というべきものだと思いますので、そういう薬はまず出さない様に気を付けているし、出すにしても依存性のほぼ無いといわれるものを出すようにしています。

話は変わりますが、病院における夜というのは意外と重大事故の起きる時間でもあるのです。夜中に廊下の向こう側でドーーーンという音がしたり、バシャーンという音がする時に認知症の患者さんがベッドから転落していたり、ポータブル・トイレを使おうとした人が転倒したり等という事も時々発生してしまうのです。

病院の夜。個人レベルでも病棟全体としても実はいろいろとダイナミックな動きがみられる病院という仕組みなのでした。

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