日本に帰ってきてこの病院に勤め始めて9年目に入りますが、自分と歳の近い看護師さん達と云うのは自然と仲良くなることが多いものです。まあ近い歳だからと言って親しくなる訳でも無い事は世の常ですが、それでも気の合う仲間の様な看護師さんはいるものです。
今日はちょっとした書類を事務所に提出しようとしてコピー機の真ん前をサッと通ったのでした。その時、これまた私と同い年の事務の女性が偶然私の前を通り「あら~、先生」と微笑みながらはなしかけてきました。
これはこれで何時もの短い会話なのですが、いつもと違う事が眼の前に飛び込んできました。それは、最近ある病棟で急に見なくなったなと最近思っていた私より一つだけ歳が若い看護師さんの名前。そしてその紙の上には病気による休職願いの文言が印刷されているでは無いですか…。
他人の秘密に…と思って一瞬、躊躇ったのですが、名前を見た上にその更に下に書かれている大きな文字の文章がどうしても目に飛び込んできたのです。
そこに書かれていたのは、どう考えても衝撃的としか思えないような深刻な病名。
一瞬どころか暫くの間言葉を失ってしまいました。それを見た事務の女性も「ですよね…、先生はお医者さんだからこの病気の子と解りますよね…」と言ったきりやはり黙ってしまいました。
数日前から事ある毎に脳裏に出てきて気になっていたこの看護師さんの事が誰に尋ねる事も無くその理由が判ってしまいました。しかも望まない形で。何時もは特に気になる事も無いのに、姿が見えなくなるとこういう形で脳裏に出てきて「探せ」と心が命じるような人物がいるのかと感じてしまいました。
まさか黙って病院を辞めたんじゃないよな?と思っていたのですがそんな事をするような仲ではないし、黙って辞めても気にもならないような人が殆どの中で「オッサン同志仲良くしようぜ!」と言って笑い合っていた彼女の名前に重なった病名に自分の年齢というものの意味が透かして見えたような気がした今日の午後となりました。
近所の病院に入院しているらしい彼女。数名でまとまってお見舞いに行かねばと思いました。
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