2024年5月9日木曜日

病的肥満・病と肥満

今までに何人かの病的肥満の患者さんを何人か入院して頂いて治療したことがあります。

病的肥満というのは「BMIが40以上の方,あるいは35以上で,肥満が原因となりうる病気を抱えている方」となっていて、バック・グラウンドに肥満由来の病気を抱えていないBMI35以上の人を普通は高度肥満と呼んでいます。

病的肥満と高度肥満の間には肥満由来の疾病の有無があるという「定義」ですが、実際には表に出てこないレベルでその萌芽は目白押し。まあ、実際には高度肥満になっている時点までに高血圧や心肥大、心不全、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症なんていう役牌のうち数枚を持っている人が多いんですけどね。

例えば新調170センチの人間がBMI35だとすると、その体重は101キロ越え!やはり高度です。これが病的~というカテゴリに入ると170センチで115キロ越え。やはりこうなるとやっぱり見た目的にも「・・・」となります。

基本、肥満の定義開始ラインはBMI25なんですが、実際は面白い事に癌死や全体的に死亡率に関してあるカーブが存在するのです。それは以下のもの。
これを見ると解るように、少なくとも男性においてはその死亡率がボトムになるのはやや肥満程度の所なんですね。女性においてはこれがもう少し下がって肥満のラインから少しばかり痩せたところにそのボトムが来ています。

ところが、それ以上に明確に面白いのは肥満の方になればなるほど…というだけでは無く痩せが極端になっていっても、やはり急激に死亡者の率が増えるのです。

実はそれだけでは無くて、高度な痩せ(るい痩)や肥満は認知機能も劇的に下げるのです。また、高齢者になって体重が大きく増減する事自体が認知症を増加させるという研究結果。
しかも、これは男女ともほぼ同じ結果となっています。やっぱり何事も急激な変化と云うのはリスクそのものなんですね。生理学的理由は当然裏にあるのでしょうが、感覚的に問題ないレベルの小規模な変化、もしくは変化がほぼ無い事が病や死から遠ざかる方法だという事を記憶の片隅にでも置いておいて良いのではないでしょうか。

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