2024年5月27日月曜日

たまに居るオカシイ家族

今日は精神科の医師と内科医たる私とソーシャル・ワーカーと看護師の四人で「ありゃ~」という話になってしまいました。

ある寝たきりの高齢患者さんに関して、以前から謎の主張をしてくる困った家族が居ました。母親はある国からやってきた外国人、そしてその娘さんは日本生まれの日本育ちで日本語は何の問題も無いのですが、恐らく確実に統合失調症。

お父さんの状態やリスクを完全に無視してソーシャル・ワーカーも唖然とするような事を次々とやってくれます。

誤嚥性肺炎を繰り返すお父さんに対して我々は何度も嚥下機能訓練を通して機能の回復を試みてきましたが、長い時間をかけてもやはり困難で、良いか?と思う度に誤嚥性肺炎を繰り返すという事ばかりで、現在では中心静脈栄養で命を繋いでいる状態です。

ところが、このお父さんに対して入れ歯(義歯)を作って入れてくれというのです。義歯を誤嚥して死に至るインシデントも発生している中で、この患者さんにとってほぼ何の意味も無いというかリスクしかない義歯を嵌めてくれと言います。

当院の歯科医師が懇切丁寧にその必要性の無さやそれにもまして存在するリスク等の説明をしたのですが、一切無視。とにかく作ってくれの一点張り。精神科医も私もそのリスクを再度繰り返すのですがやはりガン無視。簡単に言うとそれらのリスクを無視してでも作って欲しいという事で念書を作成したのですがもうこれ以外にも、とてもそのおかしさを表現できないような盛りだくさんのおかしな会話が続きました。

そして、その後「もし死んだら、脳死かどうか確認する為に今までお世話になった事のあるXX病院の院長先生に電話をしておきますからそこに救急車で送って下さい。まだ助かると思いますから」等というもう斜め上どころか銀河家の外くらいぶっ飛んだ発言。

もう、そこに居合わせたみんなが「これは…」という反応で、説得自体をあきらめ、そこにいた当院のソーシャル・ワーカーに「今日の話はキチンと記録に残して将来起きるかもしれない裁判に備えておいて下さい」とリクエストしました。

彼女は十分にそのあたりは理解していて、深く頷いて直ぐにPCで作成してくれていました。

この患者さんの娘さんが悪いとは言いたくないのですが、その病んだ思考回路には同情しかありません。お父さんに万一の事が起きないように気を配ると共に、正直なところ何とかして転出をお願いするしかないでしょう。

教科書的な診療では表に出てこない暗いやり取りもあるのが時々起こる病棟の日常でした。

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