生き物は必ず死にます。それは生き物である人間も例外ではありません。これから医療や科学全般が進歩していって多くの病気がかなりのレベルで克服され、かつそれに伴う様にして平均的な寿命も延びていくでしょうが脳の力を維持する事自身は恐らく相当先の未来でも難しいと思っています。
だとすると、いくら外見を変え内臓の臓器を再生医療などで新規の細胞を増やして機能を回復させるような事があったとしても脳はやはり機能を戻さないだろうし、生殖機能の回復も相当のレベルで難しいでしょう。だとすると、一体何のために長生きしているのかという事自体も大いなる疑問になってきますが、金を払える人間は恐らくこういった事に莫大な金をかけ続ける事でしょうね。
話しは逸れてしまいましたが、今回タイトルにあるような判決を下した一件が医師のフォーラムで大きな話題になっていたことで私の目にも飛び込んできました。
一体どういう案件かというと、このリンクに有るのですが、消えることも考えてそのテキストの概略を張っておきます。「広島の介護施設で90代の男性がゼリーを喉に詰まらせて窒息死した件で、男性の長男が施設を運営する社会福祉法人に損害賠償を求めた訴訟の判決が下り、法人に2365万円の支払いが命じられた。判決は、施設職員が男性の誤嚥を防ぐ義務を怠ったことが原因であり、職員は男性が誤嚥しているのを見ていなかったとされた。一方、救命処置は適切に行われており、男性側の主張した救護義務違反は認められなかった。男性の長男は判決に満足し、再発防止を求めたが、施設側は不服を示し控訴する意向を示した。」というもの。
これに対する医療介護者その他の人々の意見が沢山書いてあるのですが、私自身は本当に「無理やろ」というもの。まず、90代の男性で嚥下能力が大きく低下し、生物として寿命のエンドポイントに居る人に「食べる」という最後の幸せを行為として与えている施設職員と施設を訴えるというのはどういうことかという事。
何でも相手が悪くて、家で面倒をみきれない親を預けておいてその最後がこういう形であったという事で施設を訴えるような事で判決の結果がコレであれば、これから先「少しでも」リスクのある老人は胃瘻を造設するか何らかの静脈栄養で~という形式でしか受け入れてもらえないという時代が来るのではないでしょうか。
一体何時からこんな事が罷り通る時代になったんでしょうか。確かにニュースに出てくるような碌でもない介護をする介護者や看護師などはいます。しかし、多くの残りの人々はまさにゆるぎない善意の下に糞便や吐物をものともせずに介護をしているのです。その人達を追い込むような判決はあってはならないと思うのです。
一言申し添えれば「例え横に看護師がついてゆっくりと流動食を食べさせていても誤嚥は起きる」という事実。その機能評価をVF等で行って嚥下能力が低下していることを少しでも確認できれば「食べる」という行為自体を患者さんから奪うのが一番安全でしょう。
御家族のあなたはそれを避ける為に何かできますか?経鼻チューブによる水と栄養の補給?それとも老いたご両親に胃瘻を造りますか?
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