昭和3年生まれの95歳ですが、この年は張作霖爆殺事件、リンドバーグの大西洋横断の翌年、フレミングのペニシリ発見、イギリスで女性参政権の施行、昭和天皇の即位、ハウス・カレーの発売等があった本当に本当に私にとってさえ大昔の話です。(最後のはちょっとビックリでしたが)
このおばあさん足腰は衰えてしまってもう動かないのですが、頭脳はカリカリに回っていて何を話してもカ~ンと打った後の鐘の如く返ってきます。歳をとっても全く会話のレベルが落ちてなくて、80年前の話も何だか昨日の事のように話すという時々居る全く頭脳が衰えないタイプの人の典型例。
ある日、私がベッドサイドに行ってお話をしようとすると、逆にベッドの柵越しに向こうから話しかけて突然「先生、結婚してる?」との問いかけ。「何だろう、突然?」と思ってお婆ちゃんの顔を見つめていると問わず語り。
「先生、結婚はね、早くするもんじゃないよ」との謎のsuggetion…。
何故?という無粋な質問返しをしましたが、それに対してはお婆ちゃんは何故か無言。何らかの考えがあったのかもしれませんが、もう還暦になんなんとするオッサンも、お婆ちゃんから見れば結婚前の若者にでも見えたのでしょうか。w
私のほうから話を切り替えてお婆ちゃんに「お母さんはどこ生まれ?」と聞くと、御両親とも東京生まれであるとの事。その後、問わず語りで、生まれて成人するまで乳母二人とお手伝いさん達の居ない生活は経験したことが無いとのお話が出て来ます。お父さんは幾つもの会社をお持ちだったとのことで、自分自身も海外旅行ばかり行っていたとの事。
アメリカは一度も行ったことないけれど、行くのはほぼヨーロッパばかりとのこと。スイスなんかは小さい国過ぎて、マッターホーンは良いけれど、あとはレマン湖を観たら他に行くところ無かったとか、やっぱりよかったのはパリだね~とかいう話が出て来ました。
それよりも驚いたのは「若いころの友達が殆どアテネフランセにお勉強に行っていた」という話が出てきた時。嘘でこんな単語が出てくるわけがありません。その後、御両親も居なくなりご自分は施設に…という話だったんですが、95歳になっても気位高くしっかりとしている所は「そだち」に依るところなんでしょうね。
お嬢さんは死ぬまでお嬢さんのままなのでしょう。
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