2023年12月17日日曜日

認知症というのは・・・

認知症で入院して「なぜ食べられないのか」という疑問を持たれる家族さんがいます。

私の方から説明させて頂くのは進行する認知症というのは残念ながら、記憶のみにダメージを受けるだけではないのです。感情やその延長上にある性格、そして睡眠や視覚・聴覚なども大きなダメージを受けます。そして最も大事なのは食欲や嚥下能力をを含めた「食べる」という事全般に関するダメージ。

昨日まで元気だったのに急に食べなくなってしまって、その後に頑張って食べさせようとしたら今度は咽(ムセ)てしまって、夕方には熱を出して…等という誤嚥の典型的なパターンを辿ってきた話を私達医療者側に改めて説明する事になったりするわけです。

しかし、何故認知症がそういう事態を引き起こすのかという脳神経のレベルから説明をしても実際にはなかなか理解できないお話。それも無理はありません。それでも可能な限り分かりやすく説明をしていくのですが、なかなか理解出来無い人々が居る事は仕方がないと思っています。

老いの途上で出現する様々な障害。生物としての終わりの始まり。

勿論様々な方法でそれから逃れよう、遅らせよう、改善しようという努力は続けられますがそれでも時間と共に残酷に進んでいく針に抗う事は今の医学ではまだまだ至難の業なのです。

それでも、患者さんの御家族の中には「食べられなくなるのはおかしい」という認識をされる方が少数ではありますが存在していて、説明する側も難渋することがあります。ほとんど宗教の様になって「何らかの方法で助けることが出来るはず」という事を言われる方も。

そう言われる方には他の病院や施設をいつでも御紹介しているのですが、そこまで来ると却ってこの病院に置いてくださいという謎のリアクションをされることもあってこちらとしては思わず「うーん」と言ったことになるのでした。

思い込みにとらわれず現実を理解できる御親族をお呼び頂きたいと願うのですが、そのような親族が存在しないお年寄り夫婦も多く、日本語ではなく理屈の理解の壁に苦しむこともたまにある私の日常です。

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