2023年1月26日木曜日

患者と会えない家族を無くす

新型コロナが医療現場に残した爪痕が酷いものであることは何度もここに書いてきました。

その中でも私が考える最悪のものは家族と患者さんが面会する事が殆ど出来なくなった事だと思っています。私自身、九州で叔母が亡くなった時に本当に医師だからと言う感じで親族の中でピックアップされて亡くなる直前に会うことが出来ましたが、本来そんな事があってはいけないとその時点で強く感じました。

実際に、日本に帰ってきて医者として再度働き始めた時には病院に毎日のようにやって来て動けなくなった自分の御主人の御見舞に来ている奥さんや週末には御親族でそろって必ず来る方々、それに関東や九州・大阪などからも飛行機や新幹線を利用して定期的にやって来られる方など様々でした。

ところが、日本中の多くの病院で「面会謝絶」という言葉のもと新型コロナの院内感染を防止するために医療従事者以外は誰も院内には入れないようになってしまいました。

我々の病院では当初「危篤」の状態でも会えないような院内規定が作られていたのですが、それはおかしいやろ?という事で理事長と直談判して完全防御の着衣等をして頂いた上で亡くなられる可能性の高い患者さんに御面会いただくというやり方を導入しました。(勿論、リモートで面会する方法と言うのはかなり最初の段階から導入していましたが、それでも息遣いや体の温かさを眼の前で感じてさよならを言えるのとは全く違います。)

そして、現在では主治医の許可さえあって常識的な時間帯であれば患者さんの御家族の希望に沿って「いつでも」会えるようにレギュレーション自体を変えてしまいました。

新型コロナがいつまで続こうとこのレギュレーションのほうが絶対に正しいと感じています。既に数年に亘って家族の誰とも会っていない患者さんがおられるのです。更に悪いことには、以前は定期的に電話で状態を聞いてきていた方の中にも既に親族を忘れたかのように連絡さえ取らなくなってしまった家族もいるのです。

本当に糞コロナと言いたい所ですが、負ける訳にはいきません。我々が勝つのです。


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