内科の外来をしていると当たり前のようにいろんな背景の人がやってきます。
外来というのは面白いもので、私は関係ないのですがこの病院に来られていた(私がアメリカから来る前に居たという)イケメン先生の精神科外来では女性患者が行列を成して待っていたという伝説を聞いたことがあります。また、他の病院のある小児科の先生からはやってきたお母さんからファンレターならぬラブレターを貰ったことがある等という話も伺ったことがあります。それも一度や二度ではないとのこと!(客観的に観てイケメンとは思えない先生だったのですが、そのお話はとても嘘とは思えないものでした。)
さて、じゃあお前はどんな経験があるんだという事になるかとは思いますが、己がイケメンでないことは小さな頃から自覚済みのレベルですから、己の外来においてモテ系の話は絶夢という感じなのは当然なのですが、精神科と関連することの多い当院の内科外来では認知症や薬物依存関連の患者さんの興味深い話が幾つもあります。しかし、まだまだ皆さん元気で私の外来に来られている方々が多いのでここではもう亡くなられたお婆ちゃんの事を一つ。
その婆ちゃんは80過ぎの方だったのですが、ほぼ毎回私に「お手紙」を渡してくれました。その中身はお察しの如く或る有名宗教団体(その名を聞けば多分誰でも知っている輸血禁止関連の団体。w)のパンフレットとお婆さんの熱い勧誘の文言。この婆ちゃんがあと50年ほど若くて、封の中身が現金だったら私もハッとしたかもしれないのですが、その中身を知っている私としては毎度有難く頂いてはその手街の部分の文章に「認知症の進行に伴う文章の乱れや綴の間違いが無いか」などを調べた後はシュレッダーへ直行となります。まあ、時間の有る時には宗教団体のパンフも読んだりはしていたのですが。
終末感を煽ったり、その団体特有の倫理観をもとに人の道を説いたりしているのを読んでは「なるほど、婆ちゃんはこんな事を純粋に信じてるんだな」と学ばせていただいておりました。また、お婆ちゃんの手書きの中身は、通常「先生に是非知ってもらいたい大事なお話が有るんです!それは・・・云々」と言うスタイルだったのですが、その熱い熱い説得に私が反応してあげられない事を毎回申し訳なく感じていた若輩者の私です。
時々、謎のビニール袋入りタオルや季節の花やシンボルを折り紙にしたものまで私にくれていたのですが、これまた有難く頂いては病棟のナース・ステーションに飾ったりしていました。
最後は心不全で数年前に亡くなられたのですが、この方以外にも妄想性障害の方々も含めれば、私に熱い提案や説得をしてくる方々は沢山いますので、飽きることは決してありません。とにかく、いろんな事が起き得るのが「病院の外来」という所なんでしょうね。^^
ただ、毎年のように外来では患者さんから暴力を振るわれたりする医師がおります。この前も愛知では一件その様なことがニュースに出ていましたが、そういう事で被害者にならないようにはしたいと思います。
誠心誠意!客観的にはおかしな話も真面目に傾聴することが良い関係の基本だということを忘れずに今年も頑張るつもりです。
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