世界中でいろんな職種のいろんな立場の人達がこの瞬間も勉強をして自己研鑽に励んでいることと思います。
医学の世界も同様で、この世界でも我々が学生だった頃の知識で役に立つのは本当に解剖学と生理・生化学の基礎くらいではないかと言うくらいドラマティックにいろいろと臨床上の治療法は変わってしまいました。
内科だけかというと外科系も全く同様でして、我々が研修医になった頃には未だ出血バンバンであろうと手術を早く終わらせるのが名医というような引退前の先生が「残って」居られましたが、同時に当時40代半ばの先生くらいでは早いだけではダメで、出血を最小量に抑えて傷口も残らないように術後の回復も早くなるような最小侵襲のオペをする事こそが大切なんだという方々が新たなマスを形成し始めている時期でした。
当然、その人達の間には先輩後輩という両者の関係が存在していたので、何となくお互いにそのやり方には触れないコメントしないという微妙な空気を部外者たる私も感じてはいたのですが、お酒が入ると若い先生方からは「もう時代が違います」という言葉が出ていました。
実際、以降の外科の流れは消化器のみならず、整形や泌尿器などすべての領域で腹腔鏡やロボットを取り入れたオペ、そしてオペ自体をしなくて済むような方法論の導入が花盛りとなっていますから「患者さんのオペは成功、人生は終了」等と言うような事は許されない時代になっています。ついて来れないというよりも、ついて来る気の無い医者は最初からキャリア終了一直線でしかない時代になっている訳です。
内科は言わずもがなで、本当に年々歳々の変化が強く。ある年に専門医を取ったからと言って、勉強を怠ったり研修を積むことを止めれば過去の治療法で未来の患者を診ると言う状態になり、下手をしたら裁判で負けるような時代です。
「現代における標準的な治療」というものに追いついていけなくなった時、医者はステップダウンしないといけない時代になっていると思います。その事実にさえ気づかなくなった時には「耄碌した」と陰で呼ばれるのでしょう。
そうはなりたくないので、今のところは勉強を止めることはとてもとても出来ない相談です。
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