病院の医療で「患者さんの満足度」を高めるのに大切なことは幾つかあるとよく言われます。
代表的なものを幾つかあげると眠りのコントロール、便秘のコントロール、痛みのコントロールなどです。痛みのコントロールは実際に痛みの根源を探り当てそれを実際に治療することで痛みを止めるという根源に辿り着く治療法と根本的に治すこと自体は現代医学の技術的に無理なレベルであるからとか、医療経済学的に根治療法は目指さずに痛みをコントロールする事で生活の質を上げていくと言う方法がありますので、眠りや便秘とはまた違う世界が広がっています。
そこで「あの先生なら苦痛を減らしてくれる」と言う方法を提供するチャンスが対症的に多いのは眠りのコントロール、便秘のコントロールになってきます。
眠りに関しては我が日本の医学生物学会のヒーローの1人である柳沢先生の発見されたオレキシン受容体をターゲットとした薬がものすごい勢いで拡がりをみせ、以前からその依存性で悪名高かったベンゾジアゾピン系の「古く有名な薬の群れ」を少しずつ退治する方向性を見せています。
昔からベンゾジアゾピン系の薬剤群を眠剤や精神安定剤として使ってきた精神科の患者さんの中には、いろいろな方法で離脱を目指しても「どうしても離脱できない人々の群れ」になってしまっている人達がいるのです。このような人達の中には看護師さんや中高年以上の精神科の医師も沢山いて、私自身はその事実に暗澹とするばかりです。
さて、もう一つの評価の山は便秘。昔から消化管は第二の脳と言われるほど神経叢の分布が豊富で、向精神薬を使用することで物凄いひどい便秘になってしまい、その延長線上に存在するイレウスなどで排便困難と戦い続ける人達も多いのです。なかでも緊急性の高い絞扼性イレウスなどになってしまうと文字通り命に関わる便秘症となってしまうわけで、精神科ドクターからお助けコールが入ることも頻回です。orz
内科入院中の患者さんでも、運動量の低下や寝たきりの状況ではやはり便秘になりやすくなってしまうのでした。便秘のコントロールは本当に経験が大切で、同じ薬を使ったところで、年齢や性別、体重、体調、食べ物そして食習慣などの差で効果が全く異なる上に、排便習慣などの差は大変大きく「患者さんにとっての普通」というのがそれぞれ違う為に上手くコントロール出来ていると言う幅がでかすぎるのでした。
毎日出ないと気持ち悪いという人、3日に一回出るようにすると「先生出過ぎ!」と文句を言う人もいるから大変です。
今日も明日も患者さんの小さな悩みを聞きながら微調整をおこなうのでした。
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