2022年11月17日木曜日

ワクチン・ショットと死亡事故

愛知県の愛西市でそれは発生しました。

新型コロナワクチンの集団接種会場で42歳の飯岡さんという女性にワクチンを接種した直後から息苦しさと血の混じる泡を吐いたとのこと。現場に居た医師は肺の異常を疑いアナフィラキシーではないと判断。容態が悪化しアドレナリンの注射を試みたが血管が見つからず、搬送先で死亡した・・・とのことですが、まだ上に書いた記述がどこまで本当なのかというところからして正解には辿り着いていません。時間と裁判?が今後事実を明確に浮き彫りにしてくれるでしょう。

さて、如何なるワクチン・ショットであっても必ずアナフィラキシーは発生し得ます。それは如何なる薬でも同様で、その違いは薬ごとに単なる確率の差でしかありません。例え1000万人の人に予測された薬効をもたらす薬であっても1000万1人目に強烈な薬害が発生し得ることは医師であれば当然の常識です。

人の遺伝的背景はまさに複雑性の塊。特に免疫反応というのは我々の予想を全く超えて突然登場してきます。抗生物質、特に注射製剤などでは薬剤性の皮膚反応や肝障害が比較的出やすいものなどはある程度常識的に知っていても、ワクチンはまさに予想できないもの。

特にワクチン・ショットには血管迷走神経反射(VVR)という身体反応があって、注射針を刺されるという行為やこれから刺されるという心理的な防御反応によって迷走神経の刺激が入り、徐脈や血圧の低下を起こす人もいます。また、心理的緊張反応で逆に猛烈に血圧があがって頻脈を起こすことも。ですから、その判別は常々ショット前に間違いない知識として頭の中で整理反復しておかなければなりません。

残念ながらワクチンショット後に一番最初に記述したような状況が発せした時はアナフィラキシー・ショックはまず第一に疑うべきことであり、この時に行うべきはエピペンと呼ばれるアドレナリンの封入されたインジェクション・キットを大腿部外側正中に向かって服の上からでも一瞬も躊躇わずに打ち込むことが必要です。

ここからは推測ですが、恐らくこのバイト?の注射会場の医師は今までアナフィラキシーと言うのを経験したことはないと思います。バイトのドクターは会場に置いてあったショットシステムを「血管が見つからなかった」と言って打っていないようですが、別に血管内注射である必要はないわけで「打たなかった」というのは残念ながら確実な過ちだと考えます。

そもそも、エピペンのキット以外にも注射針で打つタイプも確かに売っているのですが、私の病院ではショット時にどちらのセットも会場に設置して、ショット後30分留まってもらい、少しでも自覚・他覚的に異常を感じたりした場合にはバイタルをチェックしてそれが問題のあるものか否か数人の目で追い続けます。

幸いにして今の今までアナフィラキシーには遭遇していませんが、躊躇わずにアドレナリンを打つ準備だけはしておかなければならないのは会場の責任者の第一の任務です。

何と言っても、現行法では医師だけしか打てませんから!

恐らくこれで、安易なバイト医師はワクチン注射のバイトに容易には応募しなくなることでしょうし、新型コロナワクチンの被接種者もかなりワクチンに対して心理的な抵抗が大きくなってしまったのではないかと懸念します。

さて、今回の会場で飯岡さんにショットを打ち、かつアドレナリンを打たなかったお医者さん。愛西市とショットの受託をしたどこかの医療機関が原告の訴訟を受け入れない限りは間違いなく長い裁判を経験することになるでしょう。そしてワクチンの製造者自身は恐らく日本政府との約束通り免責特権を行使することで、国が愛西市と医師と共に矢面に立つことになるのではないでしょうか。

それにしても何よりも可哀想なのはワクチン後に亡くなられた飯岡さんと、残された御主人です。心よりご冥福をお祈りいたします。残念です。


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