2020年6月10日水曜日

今回のアメリカの騒乱

ミネアポリスの警察官による脚を使ったGeorge Floyd氏への9分間に亘る頸部圧迫での死が全米どころか全世界を揺らしています。

アメリカの黒人に対する人種差別というのは本当に本当に根深くて、白人の中には「心の底から」黒人を汚らしいモノのようにしか思っていない連中が居ます。別にこれは救いようもないレベルの教育も仕事もないようなJoblessの連中に限ったことではなくて、教育を受けていても心のなかでは本当に黒人を下等な動物のように思っている連中も居て大変厄介です。

しかも、political correctnessという言葉の存在があるように、表面的にはいろいろな形で差別を先ずは差別表現の言葉から取り除こうと言う動きが世界中にありますが、何と言うか私はこれには正直あんまり大きな関心は抱いていません。時間が経てば確かに言い換えられた言葉が市民権を得て「確かに、昔はそんなこと言ってたな~」何ていう感じで差別用語というのは消えていくのでしょうが、正直、悪口というのは語彙が豊かな言語ほど豊富なもの。

差別は消しゴムで消えるような類のものではありません。

結局、差別の心というのは自分と異なるコトやモノを受け容れられない事から来るものだと私は考えます。まず最初に違いに対する恐怖(xenophobia)、そしてその恐怖を支えるのはその「異なったモノ」に対する無知でしょう。知らないものを受け容れられない馬鹿や田舎者は全世界、どの時代にも遍くおります。そしてこの連中を教育していくのは差別する事、される事のネガティブな面を十分に理解している連中の責務だと思います。

そういう意味では、白人も黒人も「差別の真実」を理解している連中は声を上げる義務と権利があるわけで、今回のデモで双方の人種が怒りの声を上げているのは至極当然だと思ってます。アジア人も当然差別の対象に良くなりはしますし、インド人やネイティブアメリカンもヒスパニックもまた同じ。

だからと言って黙っていても何も改善しません。無数の死者を出した奴隷解放の戦い(結果的にそうなっただけですが!)、そしてまた社会的に大騒乱になった公民権解放運動などを経て今があるのですが、今回の全米規模、全世界規模のデモは後の時代に振り返られることになるレベルのものでしょうし、間違いなく歴史に記憶される一つのターニングポイントになることでしょう。

アメリカの警官の暴力的な黒人逮捕はほとんど毎度映画で使われる鉄板ネタですが、黒人にとってはそれが日常。黒人であると言うだけで停められて、黒人であると言うだけで疑われて、黒人であると言うだけで気軽に押さえつけられたり撃たれたり。

もし自分が黒人としてアメリカで生きていかなければならないと言う運命を持っていたらそれは純粋に巨大なfear factor以外の何物でもありませんよ。洒落になってない。勿論、娘曰く「アジア人だってひどく差別される事がある」といいますが、その苛烈さは黒人が受けてきたものとはやはり比較にならないと思います。

馬鹿にされることと命を奪われると言うこととは重みが全く違うのです。何度か以前にも書きましたが、正直なところ私自身はアメリカに居た頃そういった差別を感じる場所にはほぼ属していませんでした。NIH然り、大学然り。こう言った高等研究施設では人種なんて全く関係なくて能力と結果がすべて。私自身がそれを感じる前に、そういった差別をする連中はそもそもそういったエリアに入ってくる能力自体がありませんでしたから。w

要するに、自分の能力に何も誇るべきものが無い人間、自分と他人との違いを元に己を優れたものとして「根拠なく」優れていると言うしか人生における己の存在に意味付けが出来ない無能な人々の可哀想なリアクションがwhite supremacistの全て。殆ど何の根拠もない宗教と言って良いでしょう。

21世紀におけるこの宗教の教祖はあのオレンジ頭の残念な人かなって思ってます。ほんとこれでアメリカの大統領なんだからギャグ漫画よりも起きている現実のほうが酷いって。w
今回の抗議行動でも愚かさフルスロットル。ほぼアクセルベタ踏みで歴史の教科書へネタを提供し続けています。近世大統領史の研究者にとってはこの大統領の特異性は素晴らしい研究素材でしょうね。

子ブッシュなんかは唯のアホな人でしたがまだまだ常識的な善意はあった。存在してても周りのネオコンに踊らされてるのが丸見えなのが痛々しい感じでしたが、トランプほどのレベルのアホではありませんでした。このオレンジ頭を見た後は子ブッシュが実にマトモに見えるほどトランプのサイコパスとしての酷さが際立ちます。流石に二期目はない!と信じたい。

アメリカにいる長女は今回の運動に関してインスタグラム上の数々の「日本語バージョンの!」リンクを送ってくれました。(オヤジは英語よりこっちがわかり易いと思ってるんだね・・・。w)

彼女自身はBLM運動に寄付もしているようで、いつも通りのアクティビストぶりです。警察や検察に関する法改正という形で今回の運動が実を結ぶのか?じっと見守っています。


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