当直の直前にコンビニに行きました。
通常、美味くもない病院食を食べることはあまり無くて、近隣にあるセブンに行って飲み物とサンドイッチとおにぎりを一個購入して終わり、というパターンがほとんどです。美味いものは美味いとおもうけれど、不味いものもそれほど拒否感なく食べはしますが、病院食には色が無い。これだけはどうしてもアカンです。
食べ物は味も大事だけど見栄えもそれ以上に大事です。宇宙食がミシュランの三ツ星の店のある料理と全く同じ食材使って同じ化学的成分であろうとも、チューブから食えば全く美味しくないと言うのは当然で、そんなもの最初の興味本位以外では誰も好んでは食べませんよね。
という前置きは脇においといて・・・このコンビニから病院に戻ってきた時に玄関に当直担当の看護師長さんと担当の社会課の職員がいました。何故かその前には見るからに焦燥感にみちみちた感じの中年男性が一人立っていて、その前には一台のタクシーが停まっていました。
「どうしたの?」と聞くと、「薬が切れて不安で堪らないからどうしても薬の補充が欲しくて昭和区からタクシー飛ばして来たと言うんです。」との一言。何を取りに来たかと言うとパキシル(作用も副作用も非常に強いSSRIの一つ)とのこと。
私は精神科医ではないのでこの薬のことを多く語れるほどの資格は持ち合わせておりませんが、この薬を巡っては巨大な社会的問題が起きている事は結構その筋の方々の間では有名な事実で、裏で高額で取引されたり、服用そのものや減薬や断薬に伴う副作用で種々の反社会的行動が導かれたなどということで、今時の非精神科の多くの医師にとっては日常診療の処方薬の一つとしえは余り手を出したがらない薬の一種ではないでしょうか。
と頃が問題はコレだけではなかったのです。実はこの男性、病院に来る前の電話インタビューで「熱はない」と言っていたらしいのですが、週末の閉鎖された入り口で検温してみるとなんと39.6℃もあったのです!
昭和区からここに来るまでのごく短時間でこれほどの高熱になるのはまず疑わしいので、嘘をついてきたという疑いが濃厚なのですが、薬を手に入れるためにはなんとしても!という感じがアリアリ。
残念ですが、院内に入れるわけにはいきません。保健所と近隣医大に連絡をとって検査をしていただくことに。精神科の当直担当ではなかったので、それ以降のことは関知していないのですが、この二日間の名古屋におけるPCR検査の結果を見る限りではエリア周辺での陽性者はゼロとなっておりますので、この方は陰性だったようですが・・・油断はなりません。
何時どこからどうやって入ってくるかなんて言うのは全くわからないというのがこういった感染症の嫌なところなので、今後とも「全く」警戒を緩めることは出来ません。
たまたますれ違っただけの出来事だったのですが、医療従事者としてはかなり緊張した一瞬となりました。
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