二重、三重にびっくりした事件でした。
まず、どう考えても患者間で発生した「院内殺人事件」なのに、警察に連絡しなかった事。そして、その上で死亡診断書を肺炎などという発生した事実と全く異なる事由で記述を行い発効した事。
そして、この事件を起こした二人の医師である理事長と主治医が兄弟であり、(ここが良く解らないところなのですが)その医師が院内に入院していた認知症の医師の名前で発行したと思われる死亡診断書が100枚以上出てきたというのです。
正直言って、もう何が何だかと云う位しっちゃかめっちゃかにやらかしている感じなのですが、現時点での報道では全く見えてこないもっと深い闇がありそうです。
そもそも認知症の医師に診断書を書かせて発効させている事がどういうことなのか少し考えてみると、入院させかつ医師数1としてカウントしていたのではないかという事。特に精神科などでは医師数と受け持ち患者数は制限がありますので、その質は全く問わずとも医師の数が一人でも増える事はそれなりに重要な意味を持つのです。
何歳の医師でどの程度の認知能力であったのかは全く判らないところですが、今後その「闇の部分」も明らかにされてくる事でしょう。更には「その」医師名で何故100枚以上もの死亡診断書が出て来るのかという事も罪深い感じがします。その100名以上の亡くなられた人々には家族、親族などは居られなかったのでしょうか?
院内での患者間の傷害事件や殺人事件と云うのは稀ならず存在していて、私の勤める病院の精神科の病棟では鉛筆を他患の眼窩に刺して殺人未遂で逮捕された患者が出たことがありました。勿論、直ちに警察が呼ばれ犯人逮捕となりましたが、これも仮に襲撃された側の患者さんが無くなるような事があれば、死死亡診断書は当然「殺人」による死因をきちんと書き込む訳です。
そもそも、死因を改竄するなどという事は「絶対に」あってはならない事で、我々医師が死亡診断書を作成する事は法的にも医学的にも倫理的にも物凄い重みを伴った行為なのです。
推定される死因は医師の技量と診断力によってその深みも内容も変わってきますが、それでも良心に従ったベストの記述でなければならないのは当然の事。虚偽の記述等という犯罪行為は1ミリたりとも入り込む隙間を作らない「最大限の努力」を行うのが当然というモノです。
そういう意味では、この医師達は恐らく関与の度合いによっては犯罪者として裁かれ、医師免許剥奪どころか刑事犯としての訴追も受ける可能性が充分にある訳で、恐ろしい事をしたもんだと他人事ながら震える次第です。
こんな程度の覚悟で死亡診断書作成の業務を行っているのであれば、それはそれはヤバい「やらかし」が重なるのは自然の成り行き。反省する脳味噌を持っているなら、罪に服して己の過ちをもう一度真摯に見つめ直すべきだと思います。
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