2024年12月23日月曜日

墓穴を掘ったのはあなた自身

今日は内科外来で「あるお婆ちゃん」が大暴れでした。

事の始まりは施設からの依頼でして、このお婆ちゃんが下腿の浮腫が酷くなってきているから一度診察して欲しいというものでした。無論異論などありません。直ぐに連れてきてもらい、診察を行いつつ採血したうえで画像データも集めました。

結局、肺気腫をベースとした心不全の増悪。確かにソックス状になった浮腫が経時的に膝に近づくと共に、呼吸も苦しさのあまり酸素を使わなければどうにもならないレベルで、胸に水も溜まっていました。当然入院の運びとなったのですが…。

実はここからがお婆さんの一日の始まりでした!

このお婆ちゃん、入院したくない余り有る事・無い事いろいろと文句を言い始めたのです。その内容がほぼ譫妄(せんもう)に近い様な発言で、事実誤認と記憶の間違いと日頃の施設への不満が入り乱れたハチャメチャなもの。

役所の人間、病院の担当者、施設の人間の皆さんが入り乱れていろいろと説得したようですが、一切効果なし。おまけにこの患者さんの妹さん迄も「あなたが来ても家に入れない」と言い切る始末。もう自分自身で四方八方を塞いでいったのです。最終的には警察を呼びつけて施設に騙されたという本人の主張をぶつけようとしたのですが、無論相手にされませんでした。

結局、入院は勿論、妹の家にも帰る事は叶わず宙ぶらりんの状態で施設に一泊。施設の方針に従えない人は施設にも最終的には居残りは出来ません。

大暴れして拳を振り上げたのは良いものの、お婆さんに残ったものは摩擦だらけで傷ついたお婆さん自身の心の傷と治療されていないお婆さんの病気だけでした。感情に任せて拳を振り回すのは簡単。しかし、それを収めるのは本当に困難なのです。

お婆さんの一日を見て改めて己にそういったことを自分が起こさ無いように肝に銘じたのでした。


0 件のコメント: