2024年10月9日水曜日

90代の爺さんの生き方

この夏から秋の暑気にやられた90代の身寄りのない爺さんが入院してきました。

入院して来た時に行った認知機能検査では90代にしてはなかなか「矍鑠」と言って良いレベルの点数で、まあこの歳でこれなら認知症とは言わんでも良いかな~位の点数は取れていました。

開口早々私に言った言葉は「私はここ何十年も病院なんて行ったこと無いんや」と云う啖呵売のような威勢の良い言葉。まあ、この手の年寄り、特に爺さんは日本に帰っていて数年で沢山見て参りましたので、私としては「ハイハイ」という感じ。

病院に行ったこと無いと云うのはイコール健康という訳では全く無いのは何度でも見てきた事ですから、逆に良くない疾患が見つからない事を祈るばかりだったのですが…。入院時の単純胸部XPからいきなり良くないイメージが得られてしまいました。

胸部造影CTを直後に行ったところやはり間違いなくある種の肺癌である事が判明しました。しかも、かなりステージが進んでいる感じ。しかし、現時点では臨床症状は全く無く気ままな感じで一見元気そうです。咳もしていないし、胸の痛みも無く、息切れなども無ければ血痰も無し。腫瘍マーカーは立派に上昇していましたが、そんな事をこの身寄りの無い爺さんに話してもあまり意味が無い様な気がしたのですが、「できもの」が出来ている事は説明しました。

これに対し思った通り、何の感情面での波風も立てずに淡々とリハビリの計画を聞いてきたのでした。

しかしその爺さんは今日になって「やっぱり家に戻る」と一言残して病棟を去っていきました。我々としては彼を留め置くことは一切行わず「万一、これから肺癌の進展で倒れたり苦しくなるような事があって、助けをも求めてきたらレスキューしてあげましょう」と病棟と医療連携室に伝えて一旦終診としました。

90過ぎればみな無双です。^^ 好きなように生きる権利を大事にしなければいけません。



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