2024年9月1日日曜日

DVから逃げ(られ)ない人

世の中はいろいろな理不尽で成り立っています。

我々の日常臨床の中で、実に様々なタイプのDVからその被害者を脱出させるべく役所からの依頼で病院を避難所として使う事があります。

話を単純化すると・・・
  1. 役所が種々の情報源をもとに様々な意味で困窮している人の情報をキャッチ
  2. その人の家を調査してレスキューする必要があるか否かをチェック
  3. 場合によっては警察と協力してその救助対象者をDVから助ける過程で、怪我をしたり病気になっている事を健康診断という形で調べる過程で病院に入院させ収容
という流れなんですが、収容の期間に関しては人それぞれ。脱出可能な場所が見つかればそこに出して収容という事になりますが、なかなか決まらずに長引いた末に療養病棟に移動になる人も稀に居られます。

ただ、ここで問題なのは役所が苦労していろいろ手を尽くしてその患者さん(困窮者)を助け出そうとしても、(お金はかからないのに)入院したがらない人やそのDVをしている相手の家に何としても戻ろうとする一群の人達がいることなのです。

何故だかはわかりませんが、その虐待(経済的、身体的、精神的、性的、社会的 etc.,)の種類にかかわらず、何が何でも戻って行こうという人が居るのは事実。戻れば確実にいろいろな形で搾取されると解っている筈なのに「頑なにその事実を否定して」元の狼の巣に戻って行く人達。

私には共依存という形なのかという気もするのですが、世の中のマインド・コントロール下での集団的猟奇殺人事件の話等を読むと到底「フツーの人」には理解できない心理状態の中に置かれている様で、正確にはDVから自らの意志で逃げ出さない人達がいると云うのが正確な表現かと思います。

そして、残念な事にその半数以上は恐らく精神発達遅滞や認知機能障害などの何らかの障害を持っていると思えることが殆どです。これは実際に話してみての主観的なものですから、確かな事ではありませんが最初に「恐らく」と書いた通りあって欲しくは無いという方向で残念ながら正しいとしか思えません。

こういう人達を法の力で引き離して助ける事は出来ません。何故ならば、法は「助けを求める人」を助けるシステムではあっても、その被害を否定し続ける人達を助けるシステムにはなっていないから。残念ですが。

こうやって戻って行った人達に支給されている保護費などを貪って生きている人間達が居る事を残念に思うのです。

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