2023年8月2日水曜日

こんなことも起きるんですね

バイト先で訪問診療をしていてあるインシデントが発生しました。

午前の診療のために中川区の周辺を走っていたのですが、車があるエリアに入って交差点に近づいたところで車の左側の歩道を何気なく眺めていたら5人ほどの男女が自転車を降りて倒れた小柄な女性の周りに衆参しているのが見えました。

我々の車のボディーには、病院の名前がちゃんと書いてありますが脇を通り過ぎかけた我々の車体を指さして口々に何か叫んでいます。

何ということでしょうか、我々を待っていたかのようにそのお婆さんは銀行の横で倒れていたのです。「義を見てせざるは勇無きなり」どころではなくココでやらねば医師としての俺の存在意義自身が問われるというレベルですよね。

スカッと車から降りてまずは患者さんの意識レベルチェック、直ぐに持っている道具を使ってバイタルを取りました。心配そうに覗く周りの方々にお婆さんの倒れていた前後の目撃情報とその後を手短に聞き取って状況を把握、大量の発汗と軽度の意識レベル低下を認めましたが、舌は未だウェットで応答は可能でした。銀行から出て自転車に乗ろうとして二回倒れたとのことで、左手前腕に鈎裂きの皮膚剥離も認めました。

更に、立てるかどうか確かめましたが、何とか立ち上がるだけでとても歩を進めるなんて言うことは出来ません、ましてやこのまま帰宅など到底無理。少なくともこのままここおにいては熱中症が悪化して命に関わりかねません。躊躇せず救急車をコールし、司令室の男性に救急であることを説明し、自分が医師で患者の状況がどうであるかを説明すると、話し方が同業者同士のものにスイッチされ、今どこから発車してそこに向かっているという事を説明されました。

偶然でしたが眼の前に内科のビルがあったので私自身がそこに駆け込んで、患者に差せる日傘を拝借しました。院内で処置を開始する選択肢もあったのですが、電話をして2分もしない内に救急車のサイレンが聞こえてきたのでそのまま救急隊に患者さんを預けることにしました。

再度手短に状況を説明して救急隊がストレッチャーで運んでくれましたが、同業者同士そこは阿吽の呼吸。去り際に「お医者さんにはコレは不要ですけど」といってカードを一枚くれました。w

あそこにいた皆が貰うべきものでした。
お婆さんはきっと問題なく元気になってくれたことでしょう。こんな事は無いに越したことはありませんが、起きたら常に冷静に対処できる自分でありたいと思います。


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