2023年8月14日月曜日

草刈正雄さんの来歴に涙

NHKのファミリーヒストリーを視ました。

今回の番組は草刈さんの事を改めて「一人の人」として識ることが出来た素晴らしいものでした。俳優として円熟の極みのような境地にある草刈さんの「全く容易でなかった人生」を物凄い人事を尽くして歴史のフィルムを巻き戻していったのですが、その生い立ちの引き戻しが凄かったです。

終戦後間もない時代のマダマダ混沌としていた時代の朝鮮戦争下の日本で出会った草刈さんの実母となる女性と米兵の出会いと別れ。ほんのこの前まで敵国同士だった人間の間にも普通に恋は芽生えますし、恋が芽生えればその二人の間に当然のように命を授かるイベントも発生するわけです。しかし、そこは当時という「時代」の作り出した壁がありました。まだまだ二人の間には日本、若しくはアメリカで生きていくには大きすぎる決断をしなければならなかった時代です。

結局、草刈さんの御母堂は日本で正雄さんを自分一人で育て上げる決意をした訳ですが、その後の生活は当時の日本では今以上に遥かに大変であったろう事は容易に想像がつきます。社会の公的システムとしてシングルマザーを支える制度など欠片もなかった上にいや増して厳しかったであろう事はinterracialな結婚によって生まれた子供達の立場。彼らのような子は当時の日本では「あいのこ」と呼ばれていました。(私が小さい頃もそういった呼び方はマダマダ普通でした!)

調べていく内に、朝鮮戦争でお父さんは亡くなられたと御母堂から聞かされていた草刈さんに実は10年前まで生きて居られた御父君が居られた事を知ったときのその顔と涙は忘れられないシーンでした。しかもアメリカの地元でも大モテだったというお父さんの顔立ちが草刈りさんに驚くほど似ていて二度ビックリ。特に目元などはDNA鑑定などというものの存在意義を不要と確信させるレベルの似具合で強烈なものでした。

その後は結局、複雑な事情を抱えたまま日本の築城基地から関東、そして離日、その後は当時の西ドイツへと移っていって再婚されたお父さんの人生の流れと、その兄弟姉妹たち一族の人生も紹介していく内容になっていました。

全体として再婚されたお父さんとそのファミリーの築き上げた人生と草刈さん御自身が御母堂と築き上げた恩讐を超えた長く複雑な人生を視て呆然。最後にアメリカの亡くなったお父さんの姉さんの親族一同の写真が飾られている壁の中に草刈さん親子の写真が飾られているのを見てまた私も「ああ、良かった」という喜びの涙。NHKの寺門アナが嗚咽されていたのを視てまた私の頬にもツーっと涙が静かに流れました。

アメリカの「新」親族に急遽会いに行った草刈りさんの話自体が今後スピンオフとして流されるとのこと。愉しみです。

改めて草刈正雄さんのファンになってしまったのでした。


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