2023年8月30日水曜日

生活習慣病と言う名称の素晴らしさ

先輩達は本当に良い名称を付けてくれたものだと感心すること毎度です。

肥満、糖尿病、高血圧、肺気腫、肝硬変、ある種の癌、その他諸々の疾患に仕事や食事、日常の生活習慣等が巨大な影響を与えていることは周知の事実として認識されていますが、それに対して先達の医師たちが付けた名称は生活習慣病というものでした。

勿論、生活習慣などとは関係なく遺伝的背景で発症する疾患、原因も未だに判明していない疾患なども当然ありますし、肥満、糖尿、高血圧、癌、肝硬変などの何れの疾患でも生活習慣とはこれっぽっちも関係ない発症要因など幾らでもありますが、それでも上記の疾患群のかなりの割合はその人が過ごす日常の生活様式である、食事、睡眠、運動、そして生活環境などが多くの影響を与えていることは厳然たる事実です。

例えば、その一つに「夜勤の多い人には認知症のリスクが高まる」なんて言う職業と関連した生活習慣病も実は沢山あります。ただ、コレは看護師さん達や夜警の人達も含めて生活の糧を得るための手段でもありますから帰ること自体が難しいですよね。

私の日常臨床の中でも、外来に来る患者さんで最初に「治す、改善する」と私に決意表明を示してからの生活習慣の改善と服薬の遵守を実行してくださって驚くほどの改善を示し、最終的には服薬自体が不要になってしまった患者さんというのはそれこそ枚挙に暇がありません。

結局、報酬としての治療効果を実感して貰えるか否かというのが成功するか否かの大きな分岐点なのですが、外来では改善を示している患者さんの数値に本当に心の底から驚きと共感を示す事が大事なことだと思っています。実際のところ私の方は演技でもなんでも無くコンスタントな改善を示してくれる患者さん達が常に存在してくれることで逆に私のほうが報酬を貰っているようなものでして、医師としての存在意義を患者さんが与えてくれるような状態になっています。だからこそ、私も「成功している人達」への治療体験がベースとなって、その他の「なかなかそうならない人達」に頑張って貰うための説得を行う自分の活力にしている面があることを否定しません。w

そういう事が達成出来ないからと言って、その人達を責めることも出来ません。実際のところ種々の飲みたい、吸いたいというような誘惑についつい負けてしまうという人達の方がよっぽど弱くて普通の人間という気がしますので。(私自身も含めて)

なにか一つの事に嵌まり込むというようなキャラを持っている人達というのは、こういった治療においても「目標達成」の為にのめり込むように治療に協力してくれる人達が居ますので、私も先ずはそういう人達にターゲットを絞って治療開始することにしています。

やっぱりこういう試みの成否の見極めは患者さんとの日頃からの診察室での会話が肝。お互いに信頼関係を見極めながら徐々に説得、次第に相手の方に治療によって得られる未来とそれが上手く行かなかったことによるデメリットを例え話、実例などを持ち出して懇々と説得し最後には実行に納得していただけるように持っていきます。

後は共闘作業なんですが、一度くらい挫折しても全くお互いにめげず、どこを改善するかをもう一度話し合って再アタック。こういう行為を進めていくことで私自身も成長していく自分を見つけることが出来るのですが、そう毎度毎度上手くいく訳もなく…。挫折感を味わうことのほうがむしろ多いのが正直なところです。

生活習慣病。字面通り、日常生活を変えれば直せることの多い病気です。


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