2022年10月4日火曜日

ベトナムで戦ってPTSD

戦争の続くウクライナでの両国の兵士達のことを考えてしまいます。

毎日続く報道では、ロシア側自身も認めるほどのロシア劣勢の様子ですが、最終的には必ずどちらかの勝利宣言で終結すると思われます。現時点での反攻の勢いと士気の高さ、戦闘システムのレベルの差から勝利はウクライナ側と個人的には願いたいものです。所謂「正義は勝つ!」というシナリオですよね。

ロシアの士気の低さはやはり、多くの日本語、英語のメディアの記述を読む限りでは「何のために戦っているのか、戦っている本人達が理解できない」という事と「当初、出発時に約束された金や装備が全く与えられないどころか、戦闘エリアで飯も食えない」というような事が主な原因のようです。おまけに指揮官達からの上意下達システムが戦闘員達の自分で考えて戦闘の組み立てを行うという西側のシステムにボコられているのも原因のようです。

2014年にクリミアで大敗を喫して以来、領土を奪われたウクライナ軍は以降、NATOその他の西側の軍に戦闘システムを再教育され、全てが一新されて今回の領土侵攻に対峙していますから、連絡手段や戦闘方法の思考など全てが古いロシアの戦闘システムに負ける訳がありません。第二次世界大戦から作戦様式に進歩のない国と21世紀の戦闘システムがぶつかりあったらどっちに分が有るかなど考える必要も無いというものです。

とは言え、戦いに参加した両軍の人間達の誰もが逃れることが出来ないのが過酷な戦闘体験です。

アメリカに居た頃、車を買いに行った時に遭遇したのがMAZDAのdealerの中年男性。結局最終的には購入には至らなかったのですが、この人物が私との商談を担当してくれた時に話が逸れに逸れて彼がベトナム戦争の従軍経験者であることが判りました。

あの戦争における従軍戦闘兵士の平均年齢は驚くなかれ19歳!普通であれば大学のフレッシュマンかそこらの年齢であって、人生に第一歩を踏み出した瞬間にあの過酷で異常な戦闘体験を最低一年にわたって経験し続けた訳です。彼の場合は、眼の前の飛び出してきたベトナム兵と塹壕で銃で殴り合い相手を刺し殺した感触が、寝ている時にフッと思い出されてフラッシュバックしては何度も何度も彼を苦しめるのだそうです。

そんな時の彼は必ず汗びっしょりで、荒い息と共にガバとベッドの上に起き上がっては暫く眠れないということの繰り返しとのことで、精神科に行っていろいろな薬を貰ったり心理療法を受けたり、グループでのヒーリングを繰り返し行ったそうなのですが、全然このPTSDから逃れることが出来ないし、同じ部隊に居て戦闘を生き残った友人達も薬に溺れたり、自死を選んだりした連中が沢山いると目に涙を浮かべて語ってくれました。

戦争なんて勝っても負けても個人のレベルでの経験としての結果は同一。恐らく彼のような経験をした人は属する軍の勝敗には関係なく大量のPTSD持ちを生み出す筈。愚かな一人の男が始めた愚かな侵略行為が恐るべき負の連鎖を少なくとも数十年にわたって両国に残すことになった訳です。人が死に、人が傷つき国が裂け、両国が反目し合う火種が世紀を超えて残ることに。

どんな犠牲を払ってでも、妄想にとりつかれたロシアの狂人を排除せねばなりません。


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