90歳を超えても頭脳が明晰であることはある種の苦痛になることも多いようです。
還暦どころか70代で亡くなられると「どこか御病気だったのですか」と問われる今の日本。実際のところ自分の両親の年齢が84という事自体も事実としては驚異的なのですが、違和感はないというのが今の時代そのものなのだと思います。
病棟では90代のお婆さん(多くのお爺さんは80代後半くらいまで)なんて沢山おられますし、そのおばあちゃんの特徴の多くはベッド上で余り動けないという方が多いです。それでも、頭は冴えたままという人も結構多くて、切れ味鋭い嫌味で日頃から看護師とヘルパーを評価して世話する人達を笑わせ、怒らせ、震えさせ、憮然とさせています。
ソレ言わなきゃ良いのにと言うようなことも人生最終局面ともなってくると「怖いもの知らず」状態で直ぐに思考が音声化。遠慮会釈など一切ございません。w
いろんな90代を見てきましたが、彼女の息子さんも既に60代後半で、そんな御母堂の事を知っている為、私とお話をする度に恐縮されてお話をされるのですが、私自身は「気にする事もありません」と言って終わりにしています。そもそも変えようが無いですからね。
スタッフの中にはお婆ちゃんに文句を言われることに対して私に不満をぶつけてくる人間もいますが、その不満に対して私から彼女達に多くを語ることはありません。しかし、彼女達に実は言わないことがあり、それは私からみて「この人の人間対応力は問題ありだな」と思っていた医療従事者側の人達が実際にお婆ちゃんにキツイことを言われていると思えることでした。
実に短時間でそういう人の白黒をつけて正直に文句を言うおばあちゃん。私にはある意味看護力のリトマス試験紙になっているような気がします。
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