2021年10月7日木曜日

100歳超えの人々を診る

長寿者とは何歳からそう呼ぶのでしょうか。

病院や在宅で100歳超えの方々を診察することもありますが、そのレベルの方々は今の人類のあらゆる標準的観点から見ても長寿者でしょうが、私が生まれた昭和の半ば頃は70歳でも十分にかつ明らかに長寿者に入れてもらえる程の平均寿命。

しかし、令和の今時だと60代で亡くなっても「何かご病気でも?」と言われてしまう程みな普通に70代、80代まで生きます。事実私のフツーの両親ももう83にまで届きました。取りあえずは二人共まだなんとか支え合って自立した生活を送っています。私もこの歳になってくるとそういう歳で自立して支え合っている両親の偉大さに普通であり続けることの凄さを感じます。

70歳でヨレヨレの人もいれば90超えてもしゃきっとして呆け一つ感じさせない人もいるわけで、還暦を過ぎてからの生物学的老化の速度の差は本当に大きいと思います。
生活歴の差は年をとってから大きくその表現系に影響を与えるようで、出鱈目な生活を送ってきた人達は年取ってからやはりその「おつり」を体に貰っているように思います。

しかし、そういった生活歴にあまり関係なく90にはいってまだ元気な人達というのはやっぱり遺伝子のレベル、そして怪我や事故などに遭わなかったという意味で「選ばれし人々」なのでしょう。分子生物学的にはおそらくテロメアが長いし、遺伝的エラーの修復に関連した抗酸化遺伝子の集団が立派に働き、P53がもりもりと仕事をしてくれているのでしょう。

そして極めつけは100歳超えの人々。いくら超長寿者と言っても90を超えてくると一年一年が違います。櫛の歯が抜けるように「来年は居られない」というような感じなんですが、そこを超えてくるのが百寿者。

私が診させていただいている100歳超えの方々の中には「いや、70代でしょう?」と言うような方が居るのです。どう考えても生物学的な奇跡としか思えません。息子さんや娘さんでさえ70代後半とか言う感じですからびっくりですよね実際に会うと。

天寿という言葉がありますが、何歳であっても充実した人生を送った方であればそれは立派な天寿。長く生きて天寿を全うする方々もいれば、濃密な中身で世界にエネルギーを放ち続けて生物学的には短い時間で天寿を全うする若者も居るわけです。

今後も日本で百寿者はどんどん増え続けますが、きっとまだまだ私を驚かせるような若々しい百寿者が目の前に現れるのでしょう。

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